連載「プロが教える『コーチング・メソッド』」では、自身もコーチであり、パーソナル・コーチングサービス「mento」を展開するmento代表取締役の木村憲仁氏が新任マネージャー向けに「マネジメントに必要な素養」を語っていきます。第3回のテーマは、部下を褒めるために必要な考え方についてです。
「私は褒められると伸びるタイプです」
もし自分の部下から、こう言われたらどんな気持ちになりますか? 「ビジネスマンは苦労して、上司からの〓咤(しった)も受け止めながら成長するものだ。自分はそうやって育った」というような気持ちが湧いてくる。そんな人も多いかもしれません。たしかに、一定のストレス耐性やレジリエンス(適応力)はそうした環境で鍛えられるのも事実です。
一方で、教育心理学の分野では人から褒められることで自尊感情が生まれ、自発的学習につながること、それによって成績が伸びることが研究で明らかになっています。また経験的にも、誰もが褒められることでやる気が生まれ、さらなる努力や成果につながることは多くの人がうなずける話だと思います。
とはいえ、目の前の部下をマネジメントする立場になったとたんに、なぜだか褒めることを難しく考えてしまいがちです。特に、自分自身がプレーヤーとして結果を出してきた自覚がある人ほど、褒めることのハードルを高くする傾向にあるように思います。