ただしその一方で、自分の持っているスキルセットと転職した先で求められるスキルセットにミスマッチがあり、再び離職することになるケースは少なからずあるのが紛れもない現実だ。「この企業のカルチャーが自分に合っている」というだけで転職してしまう人は多いが、それは最も失敗しやすいパターンだそうだ。大企業からスタートアップへの転職に失敗しないために、見るべきポイントは何があるだろうか。

失敗しないスタートアップ選び。見るべき4つのフィットとは

長谷川氏は「1.フェーズフィット、2.テーマフィット、3.リターンフィット、4.カルチャーフィットの4つのフィットを確認して欲しい」と話す。

 

1のフェーズフィットとは何か。スタートアップの成長段階には大きく分けて、シード、アーリー、ミドル、レイター、という4つのステージがある。このうちのどのステージなら自分が活躍できるのか、あるいはどのくらいの苦労ならば許容できるのか、を考えるのがステージのフィットだ。

シードステージは商品やサービスの開発段階で、完成品がなく売上も上がっていない状態。給料は低めで、福利厚生もあまり整っていない。一人ひとりの裁量が大きく、自ら考えて動き、アイデアを出し、できることはなんでもこなさないといけないだろう。

 

アーリーステージは商品化ができ、市場投入して売り上げを上げていく段階。誰も知らない会社の新しい商品を、どうやって顧客を掴み、市場に浸透させていくか。新市場開拓が重要なフェーズとなる。業務量が膨大であることは間違いない。

ミドルステージは売り上げが安定的に立ち始め、会社が成長していく段階。資金調達を繰り返し、新しい人材をどんどん採用し、会社が日に日に大きくなっていく中で、会社の仕組みづくりにも関わることになる。

レイターステージは、最初の事業が成長し、新たな事業を始めるなど、中小企業から中堅・大企業へと成長していく段階。株式上場を目指して(あるいは上場して)社内ルールが整備され、社員数も数百人規模となり、組織づくりとマネジメントが重要になってくる。

2のテーマフィットとは、事業のテーマやビジネスモデルとのフィットだ。狭義には事業領域に関心があるか、その業界で使われる言語が理解できるか、業務を遂行できるスキルがあるかなどが挙げられ、広義にはその事業が取り組む課題やビジョンに共感できるかといったことが挙げられるだろう。

注意しなければならないのは、ざっくりと営業、マーケティングの経験があっても、クロージングまでのプロセスや規模感が大きく違う場合がある点だ。BtoBなのかBtoCなのか、価格は数十万円なのか数千万円なのか、毎月何件契約を取ってくるスタイルなのか半年から1年かけるプロジェクトベースなのか、個人で動くのかチームで動くのかなど、同じ職種で転職しても自分の経験とかけ離れた場合だと入社後苦戦するケースも往々にしてある。逆に、異業種への転職でもフィットするケースは多々あるので、同業他社の中だけで探さなくてもいい。