またタクシー業界は行政側の動きによって、新しい制度に対応した機能が求められることも多い。電脳交通でも電話経由での事前確定運賃サービスや乗合サービスに対応した機能などを実装してきたが、そういった点も大手企業が導入を決める理由になっている。

「1番大きいのは、電脳交通のシステムを導入することで行政の動きや業界のトレンドにいち早く対応できる点だと思います。SaaSで提供しているがゆえに、顧客側の体験もどんどんリッチになってきている。何か新しい制度ができる度に、新しいシステムを導入するといった手間もありません。(機能が拡充してきたことで)その点により価値を感じていただけることが増えてきました」(近藤氏)

12億円調達で事業拡大、2025年までに6万台へのサービス提供へ

電脳交通にとってシリーズCとなる今回の資金調達ラウンドではJPインベストメント、ENEOSイノベーションパートナーズ、四国旅客鉄道、沖東交通グループ、三和交通などが新たな株主として加わった。

投資家とはタクシー業界のEV化や地域交通の課題解決に向けた取り組みのほか、さらなる事業拡大に向けて事業面での連携を進める計画だ。

調達した資金は組織体制の強化やプロダクトの機能拡充のほか、マーケティング施策などに用いる方針。特に大手企業を中心に「実際に既存ユーザーの様子を視察して、そのユーザーから評判を聞いた顧客」は導入までの意思決定が早いことから、アンバサダー制度などを含めたコミュニティマーケティングにも力を入れるという。

近藤氏が今後の目標に掲げるのが「タクシー業界における配車システムのデファクトスタンダード」だ。現在同社のサービスの契約台数は約1.5万台。この台数を今後2年間で6万台以上まで拡大することを目指す。

「タクシー業界は、ここ数年で(配車アプリなどによって)コンシューマー側のDXが加速しています。業界を盛り上げていくためには、事業者側のDXも同じスピード感で進めていかなければならない。我々のシステムをより多くの方々に使っていただき、課題の解決につなげていくことで、業界のDXを加速していきたいと考えています」(近藤氏)