幅広い人たちが配信することでコンテンツの幅も広がり、現在ではエンタメやビジネス、スポーツ、恋愛、美容、ミュージック、ライフスタイルなどのコンテンツが提供されている。現時点でMAU(月間アクティブユーザー数)は数十万ユーザーを記録しており、1日のユーザーの平均滞在時間は約60分にまで伸びているという。
音声コンテンツを「作ってもらう楽しみ」の体験を増やす
stand.fmを立ち上げてみたものの、「最初の1年ほどは模索の期間が続きました」と中川氏は振り返る。当時、タレントなどがYouTubeに参入するニュースが増えており、世間的には「動画の時代が来た」と思われているところあった。
「一部の人は“音声の時代が来る”と思っていましたが、世間は全然違う感覚で、そもそも配信者も集まらず、最初は自分たちでコンテンツを制作していました」(中川氏)
音声配信のUI/UXの最適解も分からない中、模索を続けていき、BGMの追加やレター機能で「何を話すか悩む」といった課題を解決したことで、少しずつ配信者が増えていった。その後、複数の配信者が共同で収録できる「コラボ収録」や複数人でのライブ配信といった機能を提供し、音声コンテンツを楽しむ仕掛けをつくることで、配信者とリスナーの両方が伸びていき、事業も軌道に乗り始めた。
今回、資金調達を実施し、プログラムを開始することで、配信者の収益化をサポートし新しいコンテンツを生み出し続けるサスティナブルな仕組みづくりに取り組む。
「プログラムを通じて音声コンテンツを作ることが楽しい、という体験を増やせればと思っています。クリエイターたちがやりたいことをやるための収入を支援することで、彼らは作ることに集中できる。ひとまず、SPPは試験的な導入になりますが、stand.fmはクリエイターが安心して音声コンテンツをつくっていける場所にしていきたいと思っています」(中川氏)