地元の鳥取や本社のある広島、そして東京・築地などの水産業者にヒアリングを重ねる中で、現場の人たちが同じ課題感を持っていることがわかった。自分たちが目指している方向性自体は間違っていない。だからこそ、そのためには自分たちが一度プレーヤーになって現場の解像度を上げる必要があった。
「ヒアリングをしていて強烈に感じたのが、産地の人たちも新しい取引先を見つけないと、このままでは売り上げが上がっていかないと感じていたことです。ただ課題はわかっているものの、既存の流通を改善する手段が見つからない。そのノウハウがないので、どうやったらいいのかがわからずに悩まれている方が多かったんです」(板倉氏)
「免許や地場のネットワークに守られている業界だからこそ、いきなりマーケットプレイスから始めるのは難しい。まずはウーオ自身が仲買業者として(UUUOのサービス上で)取引をけん引していくことができれば、それが自ずとマーケットプレイスを育てていくことにも繋がるだろうと仮説を作ってスタートしたのが最初です」(村田氏)
その後ウーオでは2018年5月に鳥取港仲買免許を取得し、現地に自社出荷拠点を開設。自社でバイヤースタッフを雇い仲買業者としての事業をスタートした。板倉氏や土谷氏は実際にプレーヤーとして現場に入っていく上でいくつもの収穫があったという。
自らが商取引を体験することで、現場で本当に求められる機能がわかる。これは筋のいいプロダクトを開発するためには絶対に必要なことだ。また自分たち自身がプロダクトのユーザーになるので、仮説検証のサイクルも早めることができる。
そして何より、産地の事業者や消費地のバイヤーからの見られ方が大きく異なる。
「自分たちのことを『IT企業です』と言うのと『自分たちも仲買をやっているんです』と言うのでは圧倒的に反応が違います。特にマーケットプレイスを拡大していく上では多くのパートナーに参加してもらうことが重要で、この違いはとても大きいです」(板倉氏)
「(小売バイヤーなど)お客さんにコンタクトを取る際にも『産地の仲買です』と言えば、話を聞いてくださる方が多い。本当に必要とされるアプリを作っていくためには、顧客からの声を踏まえて細かい改善を重ねていくことが不可欠です。本質的なフィードバックをもらいやすい環境はプロダクト作りにおいても大きな利点になっています」(土谷氏)
数億円規模の資金調達も実施、さらなる事業拡大目指す
今回ウーオではUUUOの正式ローンチに先駆けて、複数の投資家からシリーズAラウンドの資金調達を実施したことも明かしている。同社に出資したのは伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、インキュベイトファンド、ツネイシキャピタルパートナーズ、広島ベンチャーキャピタル、Full Commit Partners、とっとりキャピタル。具体的な調達額は非公開だが、数億円規模になるという。