要望を受けたバイヤーは実際にセリに参加。競り落とせた魚は直送や市場経由など、ユーザーが希望する配送方法で届ける仕組みだ。

ウーオ代表取締役の板倉一智氏によると従来の流通フローでは「安定供給」「情報の透明性」「受発注業務の負担」などの面で改善の余地があり、UUUOではこの課題を解決しているのがポイントだという。

同サービスのメインターゲットとなる鮮魚バイヤーは、馴染みのある一部の取引先に仕入れを依存していることが多い。そのため、たとえば台風など急な天候不良などで仕入れ先がストップしてしまった場合、そもそも魚が手に入らない状況に陥ってしまう恐れがあった。

生産者から消費者に至るまでの業界構造。生産者から消費者に至るまでの業界構造。ウーオは仲買業者として産地市場で魚を買い付ける
生産者から消費者に至るまでの業界構造。ウーオは仲買業者として産地市場で魚を買い付ける役割も担う。UUUOアプリのメインターゲットは飲食店やスーパーのバイヤー。

また仕入れ先となる仲卸業者との間に情報の非対称性があり、中途半端な情報しかもらいにくい業界構造になっている点も大きな課題だ。「この魚が昨日捕れたものなのか、3日前に捕れたものなのか。そういった情報が不透明な中で仕入れの決定をしないといけない」(板倉氏)ため、場合によっては嘘をつかれ、不利な条件で取引をしてしまうこともあるという。

その点UUUOでは「どんな魚がいつ獲れて、直近の相場ではいくらぐらいで取引されているのか」がすべて可視化される。新しい産地が見つかれば仕入れが安定することに加え、取り扱う魚種の幅を広げられる可能性もある。

「アプリ経由で仲買業者が持っている情報を小売企業のバイヤー向けに変換して届けることで、これまで仕入れ先(卸売業者)がオープンにしていなかったような情報に直接アクセスできるようになります。それによって知識や経験が少ないバイヤーであったとしても、産地の仲買人と同じ視点で買い付けをできるのが特徴です」(ウーオ取締役CPOの土谷太皓氏)

ローンチ前に数社にテスト利用してもらったところ、情報がオープンになっていることで鮮度の高いものを適切な価格で購入できるようになった点に対しては特に評判が良かった。魚種の幅が広がるのはもちろん、同じ種類でもサイズなどの選択肢が広がったことで、ある魚の売上が前年同期比で300%成長した事例もある。

またUUUOではスマホアプリから発注できるため、これまで主流だった電話での発注に比べて業務負担が少なくて済むのもメリットだ。休憩中やちょっとした空き時間で発注ができるため、そこに利便性を感じているユーザーも多いという。

地元の漁港の衰退を目にして起業を決意

ウーオ広島オフィスメンバー。前列中央が代表取締役の板倉一智氏、前列右が取締役CPOの土谷太皓氏
ウーオ広島オフィスメンバー。前列中央が代表取締役の板倉一智氏、前列右が取締役CPOの土谷太皓氏

漁師の人たちがなかなか儲からない問題を解決して、水産業を再生していきたい──板倉氏はそのような思いから2016年にウーオ(当時の社名はポータブル)を創業した。