以前あるテレビ番組の企画では、タレントの千原ジュニアやみちょぱとのコラボで2人の「弟子AI」を育成した。大喜利AIを使ってそれぞれの芸風(ユーモア)をかけ合わせることで、「ジュニアAIとみちょぱAIを足して2で割って、渋谷のギャルに受ける大喜利ができるAIを作る」なんてこともできるのだという。

これはユーモアに限った話ではない。たとえば音声ファイルから音声データを集めて学習させることで、“あるキャラクターが絶対に言わなそうなセリフ”をその声で話させることも可能。楽曲や文章、セリフ(発話)などに関しても同様だ。

「部品化されたパーツをユーザーが再構成することで新しいコンテンツを作る。自分たちがやりたいのは、このデジタル化された二次創作体験をデザインすることです」(竹之内氏)

わたしはが開発するAIの仕組み
わたしはが開発するAIの仕組み

大喜利AIで得られた知見や技術なども活用し、8月には2つのサービスを新たに公開した。

1つめの「ペチャクチャ」は大喜利AIの発展版で、キャラクターAI同士のトークを生成できるサービスだ。仕組みはシンプルで、ユーザーは対話に参加するキャラクターを画面から1人選ぶだけ。すると自動的に対話相手とベースとなる3往復分のトークが作られるので、その結果を見ながら面白い作品ができるまでAIに新しいアイデアを考えてもらえばいい。

2つめの「ドリアン」はカメラロールにあるような画像や動画をアップロードすると、AIが面白い部分を切り出した上で音声やテロップ、エフェクトなどを追加し、自動でおもしろ動画(ミーム動画)を作ってくれるサービスだ。

新サービスの妄想AIトーク「ペチャクチャ」
新サービスの妄想AIトーク「ペチャクチャ」
もう1つの新サービス「ドリアン」
もう1つの新サービス「ドリアン」

 

わたしはでは、今後これらのサービス上で、CGMならぬCGAd、つまり「ユーザー生成型広告(Consumer Generated Ad)」を展開することを目論んでいる。たとえばペチャクチャであればトークの中に特定の単語や商品名、セリフなどを埋め込めるように広告主が指定でき、AIがそれらの単語を含んだトーク案を提案。面白い作品ができた際にユーザー体験を変えることなく、ユーザーが自発的にSNS上でシェアするのが、わたしはとしての狙いだ。

ドリアンの場合も構造は同じで、広告主が用意した商品の名前やロゴといった素材がエフェクトとして、ユーザーのアップロードする素材にマッシュアップされる形でコンテンツが作られることになるという。

わたしはでスタートした「ユーザー生成型広告(Consumer Generated Ad)」の仕組み
わたしはでスタートした「ユーザー生成型広告(Consumer Generated Ad)」の仕組み

「ユーザーに広告のクリエイティブとバブリッシュの機能を渡してしまおうという発想から生まれた広告です。とはいえ、ユーザーの視点ではコンテンツ作りを楽しむためのパーツが1つ増えたようなイメージで、それを使って純粋に遊んでもらう。コンバージョンなどを増やすことも狙っておらず、作品がSNSで広がっていくことで、結果的にブランド想起に繋がるような広告を目指しています」