「最初はお客さんが来そうな試合をなんでも配信していた」(尾形氏)というが、たまたま高校生のバスケットボールの全国大会の情報を配信したところ、サッカーの日本代表戦よりも多くのユーザーを集客できた経験が1つの転機になった。

「サッカーの代表戦はテレビを筆頭にすでにいろいろなメディアで情報が配信されていて、ユーザーも情報収集のペインが少ない。一方でマイナースポーツはそもそも情報収集できる手段が限られていて、その課題が大きいのだと気付きました。ニッチであったとしても、選手の家族、母校の試合が気になるOBOG、他校の試合が気になる現役生が必ずいるのが学生スポーツやローカルスポーツの特徴です。その人たちとチームの接点を作るのも、Player!の大きな役割だと考えています」(尾形氏)

ookamiのメンバー
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今後さらにチームとの連携を深め、より多くの情報をカバーしていく上で欠かせないのが「地方展開」だと尾形氏は話す。今回山口キャピタルと業務提携を締結しているのも、それが1つの目的だという。

「自分たちとしては地方への進出を加速させていきたい、一方で地方銀行を始め地方の有力企業はどうすれば地域を活性化できるかを常に試行錯誤されています。今回はそこが上手く合致した形です。県内のスポーツ情報を可視化することで、関連するファンコミュニティがオンライン上に作られる。そのコミュニティを軸に山口県コミュニティ全体を活性化させていくことを目指していきます」(尾形氏)

ookamiとしては、どの都道府県にも必ずと言っていいほど存在する「スポーツというキラーコンテンツ」を活用することで、地方を活性化できることを今回の業務提携を通じて実証していきたいという考え。ゆくゆくは別の地方とのタッグも見据えている。

地方チームの開拓なども進めた上で「2〜3年後にはPlayer!を日本一のスポーツコミュニティにすること」が中長期の目標だ。インターネットの力を活用して「マイナースポーツ」という言葉をなくすところまで持っていきたいという。

「マスメディアではどうしても取り上げられるコンテンツが限られるので、(メディアの力で)メジャースポーツは育っていく反面、マイナースポーツとの格差がどんどん広がっていく側面がありました。ただインターネットの普及で、あらゆる試合情報を可視化するために必要な調達コストは極端に下がっています。世間的にはマイナーとされる競技であってもこれが自分のマイスポーツなんだと誇れるような社会、『マススポーツ』ではなく『マイスポーツ』の時代をPlayer!を通じて作っていくことを目指します」(尾形氏)