そのために必要となるソフトウェア基盤をすべて自社で開発。処理速度や精度を担保した状態で、安価なデバイスでもAI技術を使える仕組みを作った。
デバイス1台、1日単位でAIアプリを活用可能
Actcastでは開発ベンダーに対してこのコア技術をSDK(開発キット)という形で無償提供するほか、ユーザーが遠隔からアプリをインストールしたり、ベンダーが遠隔からソフトウェアをアップデートするために必要となるインフラ面の仕組みも供給する。
要はベンダーはIdeinが研究開発を重ねてきた技術をフル活用してAIアプリを開発し、Actcast上で自由にユーザーへ販売できるわけだ。
Idein代表取締役の中村晃一氏によると現時点でマーケットプレイスに並ぶのはIdeinが自ら開発したアプリのみではあるが、すでに協力関係にあるベンダーが自社アプリを作り始めている状況とのこと。ベンダーのアプリを順調に増やすことができれば、まさにAIアプリのAppStoreのように、ユーザーがさまざまな選択肢を探せる空間になりうる。
ユーザーの視点では公開されているアプリをデバイス1台から、1日単位で試すことができるため利用のハードルが低いのが特徴。アプリの料金は各ベンダーが設定でき、アプリ利用料の30%か最低手数料のどちらかがIdeinの収益となる仕組みだ(最低手数料は公開アプリは10円、特定のクライアントのみが使えるようにするなど限定公開アプリの場合は160円。いずれも1日1台あたり)。
小売やデジタルサイネージ用途を中心に拡大目指す
まだまだベンダーとユーザーが活発にアプリを売買する規模には至っていないものの、中村氏は「昨年は0だったのが0.5くらいの段階には来ました。(投資家や顧客企業から)今までは技術面を評価してもらうことが多かったものの、最近ではプラットフォームである点に期待をしてもらえることも増えてきています」と事業の進捗に手応えを感じている。
今はもともと共同開発などに取り組んでいたクライアントやパートナー企業を含めて十数社にActcastを試してもらっている状況。冒頭で触れた通り小売やデジタルサイネージ関連の問い合わせが特に多いそうだ。
「たとえば小売企業であれば来客人数や欠品情報などさまざまなデータを活用したいというニーズがあります。これまでは各用途にフォーカスした、ニッチなソリューションが乱立している状況でした。それぞれのソリューションでUI/UXから料金モデル、契約体系、インフラや対応デバイスに至るまで条件がバラバラなため、顧客の視点では使いにくさと無駄が発生していることが複数社にヒアリングをした結果わかりました」(中村氏)