ボイスチャットで「会話を諦めてしまう原因」を減らす
合田氏はもともと石油探査サービスを展開する外資系企業の出身。前職では約7年間にわたってソフトウェア開発に携わってきた。
もともとグローバルなチームで国をまたいでプロジェクトを進めていたこともあり、その当時からリモートワークのようなスタイルでも仕事が成立することは感じていたという。
「創業のきっかけとなったのは子どもの誕生と妻の転職です。子育てをしたい場所を優先しながらも、自分や妻の職場なども配慮した時に、そもそも会社の近くに住まなくても働けるような環境を実現したいと考えるようになりました。職場にとらわれることなく、自分のやりたいことや生活したい場所を選べる社会を作る。そんな思いから起業を決断しました」
リモートワークを後押しする仕組みとして、当初はアバターがオンライン上のオフィスに出勤する「3Dバーチャルオフィス」のモデルなども含めて複数のアイデアを検討したそう。ただ検証を進める中でオンライン上でも会話が弾むことに重きを置いた結果、最終的には邪魔になりえる要素は極力排除した「ボイスチャット」に落ち着いた。
「実際に顧客と話をしていても、人はちょっとしたことが原因で多くのコミュニケーションを『あきらめてしまう』ことに気づきました。話したいと思った時に話せないだけでもテンションが変わってしまうし、少しでもタイミングやテンポが崩れだけで会話が全く別のものになったりもする。話をするということは、思っている以上に複雑なものだと感じたからこそ、ラウンズでは『離れていても隣にいるように話しかけられる環境』の実現を目指して開発を進めてきました」(合田氏)
そこまで数は多くないものの一部のIT企業などではゲーマー用のボイスチャットサービス「Discord」を社内コミュニケーションツールとして活用しているという話も聞くが、まさにroundzでも開発当初は「ビジネス版のDiscord」をイメージしていたそう。
初期のUIは今よりもDiscordに近しかったが、顧客の声を聞きながら仕事中に使いやすい設計を模索していった結果、現在のものに落ち着いたのだという。
オフィス感覚で気軽に話せるリモートワークインフラ目指す
コロナの影響もあってリモートワークが今まで以上に加速する状況下において、roundzでは今後さらなる機能拡充なども進めながら「バーチャルオフィスソフトウェアの国内シェアNo.1」を目指していく方針だ。
そのための資金として、11月17日にはシードラウンドでXTech Ventures、KVP、日本スタートアップ支援1号ファンド(日本スタートアップ支援協会、フューチャーベンチャーキャピタルが運営)を引受先とした総額5000万円の第三者割当増資を実施したことも明らかにしている。