福岡市が引き続き注目され続けている理由は、チャレンジし続けているからです。自分たちの強みである部分に対して、集中的にリソースを投下しています。
福岡市の強みは何なのか。まず、10代、20代の人口比率が日本で1番高いことです。ITリテラシーが高い世代が多いということになります。
それから、福岡市は政令指定都市だということも強みです。基礎自治体の現場と、県の権限の両方を持っていますし、国家戦略特区でもあります。そのため、(スタートアップが実証実験を行う)現場から規制(緩和)までが一直線に繋がっています。
行政の関係者でなければ、「県と市が分かれていても、協力すれば良いじゃないか」と思うかもしれません。ですが、実際には「市長と知事が話せば済む」といった簡単な話ではないのです。市議会や県議会など大勢の利害関係者と調整をする必要があります。
スタートアップは、これまで世の中になかったサービスやビジネスモデルを生み出しています。スタートアップを支援するということは、既得権を持つ人たちからすれば、「新しいライバルを市場に入れていく」ということになります。
そのため、スタートアップを応援するには、実は相当な覚悟が必要なのです。かなりドロドロとした既得権との戦いがあります。ですが、福岡市は政令市のため、権限が1本に繋がっており、新しいチャレンジがしやすい環境になっていると言えるでしょう。
そして、福岡市はアジアに近い都市です。ですから、福岡市の多くのスタートアップは“スケールアップ”と“グローバル”をテーマにしています。そんなスタートアップを後押しするために、私たちは11カ国15拠点と、スタートアップ支援におけるMOUを結んでいます。
スタートアップが違う国のビジネスと取引をする上で、「支払いはちゃんとされるのか」、「この約束はちゃんと履行されるのか」など、不安を感じることもあるかと思います。ですが、両都市がMOUを結んでいる枠組みの中でのビジネスマッチングであれば、スタートアップが安心して取引することができます。
また東京都は経済規模が大きい。ユーザーも多ければ資金もたくさん集まるなど、東京都にしかない強みがあります。なので福岡市では、東京都にはない強みにリソースを集中投下しています。
例えば、実証実験のフルサポート事業です。規制緩和、資金、地域との調整など、さまざまな側面でフルサポートを提供し、実証実験を成功まで導くための伴走をしています。