先日、「ABEMA」の「NewsBAR橋下」(編集部注:元大阪市長・大阪府知事の橋下徹氏が出演するトーク番組)という番組に出演しましたが、楽しかったです。なぜなら、(橋下氏も)霞ヶ関に対して、色々な制度を変えるように促して、既得権を壊すようなチャレンジをしてきたからです。そんな首長とじゃないと話が合わないのです。

「うちもスタートアップ支援を頑張っています」と言う自治体は多く存在するものの、「既得権と戦いながらスタートアップのことを理解していく」ことができないと、スタートアップの支援は難しいのではないでしょうか。スタートアップの支援は非常に難しく、血みどろの戦いになるレベルと言っても過言ではありません。

「ポリティカルキャピタル」(政治家が有権者から得られる支持、支援、信託など)という言葉があります。それはゲームで言う“ライフゲージ”のように、どこまで使っているのか、どこまで上下しているのか、常に気にしている必要があります。

当然ながら「スタートアップを支援し、既得権を壊すためにポリティカルキャピタルを使おう」と考える首長に会うことはそうありません。

なぜなら、既得権の人は選挙運動をしてくれますし、政治資金パーティーに来てくれるなど、選挙運動に協力してくれます。一方、スタートアップは選挙運動に協力してくれませんし、政治資金パーティーに来てくれるわけでもありません。市場に競争原理をもたらすことよって、大勢の既得権サイドの人からは嫌われるし、 票も減ってしまいます。スタートアップを支援しても政治家個人に良いことはありません。

Uberの実証実験を行うにしても、タクシー業界からの反発が非常に強烈にあるわけです。(編集部注:Uberは2015年2月に福岡市でライドシェアの検証実験を開始したが、無許可でタクシー業を行う「白タク」を禁止する道路運送法に抵触する可能性があるとして、国土交通省から「待った」をかけられたのち、わずか1カ月ほどで中止した)私のところにも、タクシー業界の方々が、さまざまなつてをたどって話をしに来ました。

スタートアップも、失敗を繰り返す中で学ぶべきなのだと思います。ですが、その“学び”は現状、「失敗して諦めた個々の企業」の中だけに留まっており、スタートアップ業界全体には広がっていない状況です。

例えばですが、スタートアップはロビー活動をしません。サービスはより良いものに淘汰されていくという、経済の世界で物事を進めていく上での理屈が、行政でも同じように通用すると考えているからです。