「BtoB SaaSなど企業活動や業務を効率化したり、組織など働く環境を構造から変革しようというスタートアップはもちろん対象となります。また個人の新しい働き方を推進したり、ヘルスケアや教育、育児・介護といった面から働く人を支える、ウェルビーイングを目指すスタートアップも支援していきたいと考えています」

「働くことは人の生きがいでもあります。もちろん『働きたくないな』と思いながら働く人もいますが、誰かのために働いて、喜んでもらって対価を得るということは、自己肯定にもつながること。働くことを良くすることにVCとしてかかわるのは、人を幸せにすることで、いいレバレッジのかかるモデルだからです。ユーザーの課題を解決するスタートアップをVCが支援して、その総量が大きくなれば世の中はハッピーになり、スタートアップも成長してVCも投資を回収できますから」(矢澤氏)

YV1号ファンドには、日本テクノロジーベンチャーパートナーズのGPである村口和孝氏や、IT系カンファレンスやスタートアップコミュニティ運営を支援するウィズグループ代表取締役の奥田浩美氏らが、LP投資家として参加する。今後も出資者を募り、2021年5月をめどにファンド総額7億円以上を目指す。

しかしコロナ禍の影響もあり、LP投資はなかなか集まりづらい状況ではあるようだ。「出産によるブランクもあり、『子どもがいて、本気でVCとしてやれるのか』と言われることもありました」という矢澤氏。風当たりの強い環境下だが「今は確かにまだ成果が何もない状態で、私も何者でもない。本気度を見せるためには、応援してくれる人たちからの出資でいったんファンドを組成して、ちゃんとやると宣言した方が早いと考えました」と話している。

世界的に女性ベンチャーキャピタリストはまだまだ少数派だ。日本でも、特にファンドの運用に携わるパートナー職の女性は日本にほとんどいない。ただ、矢澤氏は「あまり『女性GP』ということを強調するつもりはありません。パフォーマンスが出ることこそが大事」と述べている。

「女性の働きやすさを支援して社会活躍を促すスタートアップにも投資していきますし、ダイバーシティーを高める取り組みにも注目していきます。その一環として女性起業家の支援も進めますが、『女性だから』というだけではなく、テクノロジーを活用して世の中を変えるスタートアップを支援していきたいです」(矢澤氏)