このアプリを開発した理由について、川口さんはプレゼンテーションで「学校でSDGsを学んだり、マークを集めるゲームをしたことがきっかけです。身近にあるマークがSDGsに関係があることを知り、組み合わせることでSDGsを考えるきっかけになればと思いました」と話す。

「この作品を通して、それぞれのマークに関わるSDGsを意識する人が増えれば良いなと思いました。10年後の2030年には、みんな笑顔の持続可能な社会になっていると良いですね」(川口さん)

開発で最も苦労したのはAIによる画像認識。川口さんはTeachable Machine(Googleが提供しているAIの機械学習ツール)で学習モデルを作り、Scratch(子供向けのプログラミング言語)に取り込んだが、 最初はうまく認識しなかったそうだ。「原因は、学習された画像が似たようなものばかりだったから。なので、同じエコマークでも、いろいろな色や大きさ角度のものを取り込みました。すると高い確率で認識してくれるようになりました」と説明する。

決勝大会で審査員を務めた、LINEみらい財団企画室の福岡俊弘氏は「機械学習を使った作品が出てくるとは想像もしていなかった」とコメント。同じく審査員を務めたCygames CTO室の永谷真澄氏は「使った人にとって本当に役に立つソフトになっていると思います」と述べた。

コロナ禍で“社会的意義”のある作品が増加

Tech Kids Grand Prixは今年で3度目の開催。今年は7月よりエントリー受付を開始し、9月末までに2189件の応募を受け付けたという。

今年からは東京都・渋谷区、千葉県・松戶市、⻑崎県・島原市を含む12の地域と連携し、地方コンテストも共同開催した。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今年は正しい手洗いについて学べるアプリや、ソーシャルディスタンスを確認できるARアプリなど、社会的意義のある作品が目立った。その他にも、人類が地球を脱出する宇宙ゲームや、お気に入りの犬のぬいぐるみを3Dモデリングした可愛らしいゲームなど、個性的な作品が揃っていた。

審査員の永谷氏は「持続可能性のような社会的なテーマを扱ったり、コロナ禍での不自由に対して工夫をしたり、好きなゲームやアートを作り込んでみたり。いろいろなテーマの作品が揃っていましたが、どの作品からも皆さんのこだわりが伝わってきました」と総評した。

Cygames CTO室の永谷真澄氏(左)と川口明莉さん(右)
Cygames CTO室の永谷真澄氏(左)と川口明莉さん(右)