2021年は「クリエイター支援」のツールがトレンドに

草野:私も宮武さんと同様に、2020年はクリエイターが最も台頭した年だったと思います。Z世代のクリエイターは戦略を立てて情報発信するのが好きで得意です。今年はクリエイターがサービスやアイテムをリリースするまでの過程やストーリーをコンテンツとして発信するのがトレンドだったかな、と思います。

この流れはK-POPシーンでも起こっています。ミュージックビデオを公開するまでに予告動画やコンセプト動画を配信するなど、公開までの過程を見せることに重きが置かれています。

また、2020年はさまざまな体験の“ゲーム化”が流行した1年でもありました。ファッションブランドのBALENCIAGAは2021年フォールコレクションを独自に制作したゲーム「Afterworld: The Age of Tomorrow」で発表して、話題になりました。

また、ポップカルチャーやアートの祭典である「ComplexCon」は今年、「ComplexLand 2020」としてオンラインでイベント開催しました。バーチャル会場に並ぶフードトラックで料理を注文すると自宅に届くなど、手の込んだバーチャル体験を実現していました。

──クリエイターエコノミーは2021年以降も拡大し続けるとお考えですか。

宮武:2021年以降もクリエイターの数は増え続けると思います。加えて、彼らをサポートするツールも続々と登場してくるのではないでしょうか。

例えば、「Stir」という、クリエイターのお金の管理やコラボレーションを支援するサービスがあります。このようなツールが来年、本格的に流行してくると思います。今年はその皮切りとして、コミュニティ構築のためのツールが誕生してきました。

草野:私もクリエイターを支えるツールは増えると思っています。Substackがコミュニティ機能を用意しているようなので、楽しみにしています。ニュースレターを配信するだけではなくて、購読者のコミュニティを作る機能が追加されるようです。

ゲームのクリエイター向けの「ShotCall」というコミュニティ構築のサービスは、配信者同士のコラボレーションや、視聴者とのコミュニケーションを支援します。2021年はこのような領域の新たなサービスが増えることを期待しています。

また、ライブ配信のためのツールもまだまだ改善の余地があり、伸び代があるのではないかと思います。例えば「Moment House」というサービスはアーティストのチケット販売や配信から、著作権周りも支援します。さまざまな用途に適した配信ツールが今後、続々と誕生してくるのではないでしょうか。