言うべきNOやNGは大事に守りましょう。むしろ、言うべきNOを言わずにいることは、「正直な気持ちにブレーキをかけているだけ」だと考えてください。

 私が単純な「言い換え」に否定的なのは、まさにこの点に理由があります。言葉は、表面だけ入れ替えればいいものではありません。それを口にする自分のこころが伴って、ようやく効力を発揮するものです。

 表面的な言い換えに終始していたら、余計にこころが苦しくなる可能性だってあるでしょう。肯定語をたくさん使うのはとてもいい口ぐせですが、単語の言い換えに縛られることはないようにしてください。

 自分のこころにはいつも正直でいる。そのうえで、表現を変えていくことをこころがければいいのです。こころは、言葉を食べて生きています。つまり、こころと言葉は連動している。言葉を肯定語に変えれば、物事への解釈が変わり、肯定的側面を探す思考のくせがついてきます。

 肯定語を使う。肯定的側面を見る。この2つはぐるぐる連鎖して、自己肯定感がぐんぐん上がる最高のスパイラルを生み出してくれます。ぜひ今日から、肯定語の力を活用していきましょう。

否定語がしみついてしまった人は
「かもしれない」から改善しよう

身につけたい口ぐせ「『かもしれない』をつけ足す」

「よくない口ぐせをやめよう!」「肯定語をたくさん使おう!」。そう意識しても、最初はなかなかうまくいかないかもしれません。

 口ぐせは、まさにその人の「くせ」ですから、すぐには消えないものです。とくに否定語を使いがちな人が肯定語を使うのは、考え方を180度転換するようなものですから、難しい部分もあると思います。

 日常生活の中で、とっさに「でも……」「ムリだ……」という否定語が顔を出してしまうこともあるでしょう。

 そんなときに言ってほしいのが、「かもしれない」という言葉です。「できない……」の後に「かもしれない」。「もうムリ……」の後に「かもしれない」。

 こうやって、否定語を言ってしまった後に、「かもしれない」とつけ加えるのです。何度も「できない」「ムリだ」という通行止めの看板を見ていると、すべての道がふさがれているような気がしてしまうものです。

 つまり、「これもできない、あれもムリだ。だから自分はダメなんだ。やっぱり自分は変われないんだ……」と、最悪のループが始まってしまう。こうなると、抜け出すのは非常に困難でしょう。