カウンセリング後に転職する人が多い理由
私のカウンセリングでは初めに期間と回数を決めてスタートし、延長するかどうかは相談者さんに決めてもらっています。Aさんは複数の心理療法と、日常的に自ら行うワークをいくつか実践すると、それらを始めて約8カ月後には「職場で人と緊張せずに話せるようになった」とうれしそうに報告してくれました。
その時はまだ1回分カウンセリングが残っていたのですが、Aさんは「卒業します」と宣言。「では、残り1回分は半年後に行いましょう」と約束して、いったん終了となりました。
半年後、カウンセリングで再会したAさんは、とても明るい表情でした。「以前は常に漠然とした不安がありましたが、今はそれがなくなりました。体調も良いです」。しかも、前回のカウンセリング直後に転職にも踏み切り、すでに新しい職場で働いているということでした。
実はカウンセリングを卒業後、転職される相談者さんはとても多いです。体調が良くなったことはもちろん、心の底に抱えてきたさまざまな不安がなくなったことが大きいでしょう。
根底に不安があると、体も心も緊張で萎縮してしまい、状況に最も適した発想や行動ができにくくなります。しかし、カウンセリングを通して不安を払拭し、さらに気持ちの切り替えや自分を大切にする重要性を知ったことで、冷静に自分の状況を見つめられるようになります。そうなって初めて、人は大きな決断ができるようになるのです。実際に、全く異業種への転職や40代での起業、あるいは前向きな離婚をされた方もいます。
さて、それでは具体的にAさんはどのような心理療法とワークを実践したのでしょうか。また、カウンセリングの初期で明らかになった、意外な「内面の問題」とは? 仕事やプライベートで悩みがちな40代男性でも、専門家の下で簡単に取り組める方法を、記事の後編で紹介します。