「現在のVTuberは約7000人と言われていますが、それよりはるかに多くの人がエモモを使っています。VTuberもいろいろなキャラクターがいますが、一般の人がただ話すだけではコンテンツとして成立しにくい。ですが好きなゲームをプレイして、実況するというのは、コンテンツとしても十分成立しています」

35億円、大型資金調達の勝算

 ミラティブは2月13日、JAFCO、グローバル・ブレイン、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ANRIを引受先とする合計31億円の第三者割当増資の実施を発表した。今回の資金調達ラウンドでは35億円までの調達を予定する。ミラティブは、今回調達した資金をもとに人材採用やマーケティングを強化していく。

 直近では、Gunosyの上場を支えた元取締役CFOの伊藤光茂氏やゲームポット創業者の植田修平氏を招聘(しょうへい)。植田氏は韓国事業責任者となり、ミラティブの韓国展開を進める。また2月からはテレビCMも開始し、大々的なマーケティングも行っている。

「たとえばメッセンジャーアプリの『Whatsapp』は40人で10億人以上のユーザーを抱えています。プロダクトアウトでミラティブを広げていきたい。エンジニア採用も積極的にやっていきます」

アバターはオタク文化ではない

 ミラティブのビジネスモデルは広告とユーザー課金の2つ。売上高は開示していないがいずれも好調だという。ゲーム会社とタイアップした広告や、視聴者が配信者にデジタルアイテムを贈るギフティング機能を提供している。

 配信者の割合が多いミラティブでは、配信者同士でお互いにギフティングを行いあうような文化もできつつある。既存の配信サービスのように「配信者が大きく稼げる」という打ち出し方はしないが、「将来的には、『配信を楽しんでいたら、誰でも毎月のお小遣いにはなる』くらいの還元の仕組みを整えたい」としている。

 すでに韓国での事業展開は進めているが、今後は中国や台湾をはじめとしてアジア圏から世界進出をねらう。

「中国のライブ配信サービスの動向を見ると、ゲーム配信以外のジャンルは頭打ちになっている状況です。スマホゲーム市場を見ても、『インスタ映え』ならぬ『配信映え』することは、成功の1つのカギになっています。『PUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)』や『荒野行動』、『FORTNITE』といった人気タイトルはその例だと思います」