KAKEAIは、HRとテクノロジーを掛け合わせたHRTech領域のツールだ。SmartHRやカオナビなどをはじめ、約500のサービスが生まれており、国内の市場規模は349億円だ(ミック研究所『HRtechクラウド市場の実態と展望2019年度版』のプレスリリースより)。今後も年間40%の成長が見込まれており、2024年度には1700億円にまで成長すると予測されている。

 KAKEAIは2018年に創業してから、そんな活発なHRTech市場の中で独自の存在感を放っている。2019年10月にラスベガスで開催されたHRTechの世界最大級イベント「HR Technology Conference & Expo 2019」に参加。その中で、日本企業で初めて「世界のHR techスタートアップ30社」に選出された。

 KAKEAI代表取締役社長の本田英貴氏は、日本発のサービスが海外のHRTechイベントで受賞した理由を次のように推測する。

「米国は今、『従業員の力をどうしたら最大限に引き出せるか』に関心が強いです。特に、KAKEAIの上司と部下のコミュニケーションにおける課題は万国共通。むしろ人種や宗教の違いもあるため、日本企業よりも課題感が大きいのかもしれません」(本田氏)

特許を取得した独自の「シェア機能」

 KAKEAIは、性格診断データやチームメンバーからの報告データをAIが分析し、部下の性格や感情を可視化。属人化しがちな現場のマネジメントを改善できるサービスだ。

 多くのHRTechツールが人事部門向けなのに対し、現場のマネジャーを対象にしている。これについて「従業員が働く上で、現場の上司の影響がいちばん大きいはず」だと本田氏は主張する。

「日本だといまだに、人事部門が管理する考え方が主流のため、従業員満足度を高めようと組織を内側から変えようとしても、のれんに腕押し状態。だからこそ、上司部下の関係性を可視化して属人化を防ぐことで、現場に裁量がある環境を作ろうと考えました」(本田氏)

 最大の特徴は、上司と部下のコミュニケーションにおける複雑かつ膨大なデータを蓄積し、独自のAI分析によるアドバイスをほかの上司にも共有できる仕組みだ。上司が部下にどのように接したか、またそれに対して、部下がどのように感じたかを、すべて蓄積できる。

 具体的な使い方としては、まず、上司と部下それぞれが、性格診断テストを受ける。その結果で得られる性格の特徴は、回答者本人にフィードバックされるのに加え、KAKEAI上にデータとして蓄積される。