また、部下の変化をチームメンバーが報告できる仕組みも搭載されている。部下はツール内の「気づきボタン」を押して、他のメンバーの様子などを投稿できる。これにより上司だけでは気付きにくいことや目の届いていないことを、チームで補完できる。

 これらのデータをAIが分析し、上司が部下に行うべき関わり方をアドバイスするのだ。部下の特性や状況に応じて、適切なコミュニケーション方法が事例ベースでAIから提案されるため、1on1ミーティングなど、上司と部下の面談で利用される場合が多い。

 最後に、部下が「上司との面談を通してどう感じたか」のフィードバックを、KAKEAIに入力する。感情や悩みを段階評価で回答するか、またはフリーコメントで細かく記入できる。AIは、性格診断結果や職場での状況なども包含した上で、近しい上司部下の組み合わせや状況になっている社内の別の上司部下のフィードバックもリコメンドしてくれる。

 これによって上司は、現在の部下との関わり方を確認することだけでなく、効果的なコミュニケーション方法を見つけるヒントも得ることができる。

部下の気持ちがわかる?上司専用の「おせっかいAIツール」特許を取得したナレッジシェアの仕組み 提供:KAKEAI

 この「何かしらの⽅法で得られた、どのような特徴の⼈が(Xさんとする)、どのような特徴の⼈に対し(Aさんとする)、どのような状況で、どのように関わり、それを相⼿(Aさん)がどう感じたかというデータをもとに、XさんやAさんと近い特徴や状況にある⼈に対し、相⼿への最適な関わり⽅を提案する」というナレッジシェアの仕組みは、ビジネスモデル特許も取得している。

ぬるい上司に「喝」を入れる“おせっかい”

 創業2年目にして、大企業からスタートアップまで約30社が導入しているKAKEAI。特に大企業との親和性は高く、オムロングループなどの有名企業でも一部導入されている。

「1on1を実施していてもうまくいっていない企業にはお勧めです。また、ゆくゆくは会社間でも個人を特定しない形でナレッジシェアできる仕組みをリリースする予定なので、他社の1on1も参考にできるようになります」(本田氏)

 さらに本田氏は、「上司やマネジャーに刺激を与えるきっかけを作りたい」と主張する。

「今の時代、上司と部下の1対1の関係性だと、なんとなくの主観でマネジメントをする“ぬるい人”が結構いる。それをAIの力で解消したい。昔は会社によく、“おせっかいな人”っていたじゃないですか。『あの人がこう言っていたよ』とか『あれは良くないんじゃない?』とか言う人。実はああいう人がいるおかげで、多面的に見られていた部分が少なからずあった。あの“おせっかいな人”AI版をやりたいんです」(本田氏)