店舗を持たず、AIと人力の組み合わせで審査を行うことで、高速化とコスト削減を実現。手数料は2〜9%ほどになるという。2017年11月にベータ版のサービスを開始しており、すでに合計で100億円超の申し込みがある。申し込みの約半数は製造・建設業界だが、季節ごとの資金ニーズがあるアパレル企業や、受注する案件次第で急な資金ニーズが発生するIT企業などからも引き合いがあるという。

 至急の資金ニーズを解決するということもあり、高額な手数料を設定したり、中にはファクタリングを装った闇金業者が逮捕されるという事件もあったりと、ともすると「ファクタリング=違法貸金」といった誤解が生じたこともある。OLTAでは弁護士同席で複数回金融庁に確認を取るなどしてサービスを準備してきた。米国では5年以上前から「BlueVine」や「Fundbox」といったファクタリングサービスが提供されている。また国内でもマネーフォワード子会社の「MF KESSAI」やスタートアップの「LENDYファクタリング」などが立ち上がっている。

OLTAのクラウドファクタリングのイメージOLTAのクラウドファクタリングのイメージ

企業の資金調達、選択肢を増やす

 OLTAの創業は2017年4月。代表取締役の澤岻優紀(たくし・ゆうき)氏は新卒で野村證券に入社。大企業向けに資金調達の支援をしていく中で「スタートアップ(の第三者割当増資)を除けば、調達手段は『融資』がほとんど。企業の資金調達のための選択肢を増やしたい」と考えるようになったのだという。自らサービスを立ち上げようと退職して、練っていたアイデアの1つがファクタリングだった。

「中小企業はいつも掛け売りに悩みを抱えています。それは(仕入れのために)お金を支払うスピードと、(売り掛けの)お金が入るスピードに違いがあるから。ですが、ノンバンク融資も減っており、地銀や信金も中小企業の短期・少額の運転資金は提供しづらい状況。また、事業が順調でもお金の流れが必要な場面には直面します。そんな時の資金調達手段を変えていきたいと思いました」(澤岻氏)

 澤岻氏はビジネスマッチングアプリを使って、IT業界関係者などにヒアリングを進めた。その中で出会ったのが、当時ソニーの社員としてプレイステーションの経営戦略に関わっていた、現・OLTA取締役CSOの武田修一氏。澤岻氏や武田氏とファクタリングの事業プランを磨き、OLTAを立ち上げた。同時期に三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のインキュベーションプログラムにも参加。MUFGのデータ提供を受けて、審査用のスコアリングモデルを構築していった。