クラウドファンディングは
「ファンに思いを届けられる場所」

 鳴海氏は、カー用品企業のオリジナル製品であるGFRがここまで話題を集めた理由を、クラウドファンディングサービスを利用したことにあったと振り返る。資金集めの側面が注目されがちなクラウドファンディングだが、glafitでは当初から広報を目的として活用していたそうだ。

「楽天での先行販売なども想定しましたが、クラウドファンディングサービスにはglafitの想定ユーザーである『モビリティに感動を求めている人々』が多くいらっしゃいました。こうした人々に対して着実に周知できたことは、大きな成果です」(鳴海氏)

 また、クラウドファンディングの利用者は、プロダクトの紹介ページをしっかり読み込んでくれる傾向にあるという。開発背景や商品への思いに共感したファンを多く生んだことも、GFRの人気につながっている。LOMの先行販売先も、GFRでも利用したクラウドファンディングサービスMakuakeを選んだ。

 ただし、 LOMのクラウドファンディングはこれが初めてではない。日本に先駆けて、2月からアメリカの「Kickstarter」でもプロジェクトを開始していたのだ。こちらは新型コロナウィルスの感染拡大による情勢の変化で中止になってしまったが、LOMを海外にも発信していこうという意志の表明でもある。

「LOMの乗車体験は、世界中でも唯一無二になるはず。ものづくり系のプロジェクトが盛んなクラウドファンディングとして、Kickstarterを選びました。また、日本では原付に区分されるため免許やヘルメットが必須ですが、海外ではこうした制約もありません。体制が整い次第、アメリカとフランスでの展開を進めるつもりです」(鳴海氏)

 一方で、日本でのより自由なモビリティの利用を目指した取り組みも推進中だ。2019年11月、glafitはモビリティ分野で初となる「新技術等実証制度」(いわゆる「規制のサンドボックス制度」)の認定を取得。和歌山市と共同で車道以外での走行を視野に入れた公道実証や、シェアモビリティの実証実験を行っている。

 「現状でも十分活用できるが、原付としての制限がなくなればより幅広いシーンで利用してもらえるはず」と話すように、より多くの人にモビリティを楽しんでもらうことがその目的だ。

「日常の中の非日常」な製品が注目される
アフターコロナの世界

 glafitにとっても、新型コロナウィルスの流行による損失は決して少なくない。GFRの主な販売先である東京の実店舗の売り上げは大きく減少している。しかし、「電動バイクへの注目はむしろ高まっている」と鳴海氏は考える。