コロナで進む企業のD2C化
コロナの影響による営業自粛や閉鎖でShopifyを使いECサイトを立ち上げる企業は、世界的に急増した。3月13日〜4月24日の期間で新たに立ち上がったECサイトの数は、直前の6週間と比較し62%増加。Shopify Japan代表のマーク・ワング氏は、「日本でShopifyを使う事業者は4月、前月比で50%増え、Shopifyで作られたECサイトで初めて買い物をした消費者は77%増加した」と言う。アクションフィギュアやぬいぐるみの売り上げは特に急増しており、4月は前月比で5000%伸びたそうだ。
ワング氏は世界的に見れば「コロナの影響によるECの盛り上がりは多少、減少していく」と話す。だが、EC化が遅れている日本においては、「より多様なチャネルで販売を行う必要がある」と危機感を覚えた事業者のオンライン化が今後も進む見通しだと説明する。
具体的には、これまではB2Bに特化して事業を展開していた伝統企業や製造業者などの事業者が、Shopifyを活用し、ECサイトを介して直接消費者に商品を販売するD2C事業を開始するという傾向があるそうだ。
例えば、クラフトビールを製造する京都醸造の売上の大部分は卸業で成り立っていたが、卸先となるレストランなどの相次ぐ休業で打撃を受け、Shopifyを使いECサイトを立ち上げ、消費者への商品の直接販売を開始した。
「さまざまな事業が生き残り成功するには、この(D2Cへの)シフトは必須だと言え、今後も続くと考えている」(ワング氏)
Shopifyの強みは他プラットフォームとの連携
日本にはBASEやSTORESを含むさまざまな競合ECプラットフォームが存在するが、Shopifyの強みは事業者が規模拡大に伴いECサイトを段階的に拡充できる機能のほか、楽天市場やFacebook、Instagramなど他のプラットフォームとの連携にある。
5月19日にはFacebookとの連携で小規模事業者向けにECサービス「Facebook Shops」を開始することを発表し話題となったが、日本においては、4月7日に発表された楽天市場との連携により、Shopifyの利用者は楽天市場に手軽に出品できるようになった。
ワング氏は、日本ではFacebookやInstagramを通じた販売に加え、Google Shoppingにも対応していたが、マーケットプレイスが欠けていたと話す。
Shopifyは1月に日本でも店舗を開いた人気のスニーカーブランドのAllbirdsなどが利用しているが、楽天市場との連携は、海外のD2Cブランドが日本市場に参入する際に、知名度を向上し顧客を獲得するには有用だとワング氏は説明する。