こうした現状から、Team UNITEは「選手がモチベーションを保てる環境づくりこそが大事だ」と考え、待遇・サポートの拡充に注力している。所属選手はアカツキと契約するが、雇用形態は選手により相談し、仕事に応じた報酬を受け取る。現状の雇用形態は契約社員だが、選手の希望によっては正社員としての雇用も視野に入れている。eスポーツ選手だからといって特別視することなく、入社や昇進の決定は「アカツキの社員として活躍できるか」を軸に判断される。

CAPSでの勤務時間は10〜15時(通常の社員は18時まで)で、eスポーツのトレーニングは夕方以降に行う。海外プレイヤーとのやりとりも多いトレーニングは夜間に行う方が効率的なため業務とのバッティングも少なく、大会前などにはトレーニングの比重を高めることも可能だ。もちろん、大会への遠征期間も勤務時間としてみなされる。

「CAPSでの業務はトレーニングを妨げるものではなく、むしろ選手にとって長期的にプラスになると考えています」と渡辺氏は話す。

 

選手はこれまで培ってきたゲームの経験を活かして、アカツキが運営するモバイルゲームで新しく登場するキャラクターや新規イベントのバランス調整を担当し、実際にタイトルの開発者とコミュニケーションを取りながら業務をこなす。CAPSはゲーム業界未経験者が約8割を占め、ここからゲームプランナーを志す社員も少なくない。実際にゲームプランナーやディレクターに転身して活躍している社員も多い。

こうした業務を通じて、Team UNITEの選手は競技経験だけでなく、ゲーム会社での勤務経験も積むことができる。eスポーツ業界を取り巻く課題の1つが、選手のセカンドキャリアだ。現役で活躍できなくなった選手は大会のキャスターや配信者になることもあるが、ゲームとは無関係の職業に就くことも多い。

渡辺氏は、「キャリアの選択は各人の自由ですが、せっかくであればこれまでの経験を活かしてほしいです。プロのeスポーツ選手としてスポンサー契約を狙うのはもちろん、ゲーム開発など本人の希望に沿ったキャリアプランを選んでもらえればと思います」と話す。

「選手のブランド化は狙うが、無理な黒字化は考えていない」

今後は「Apex Legends」の選手を集めつつ、「マジック:ザ・ギャザリング」の選手をサポートし、公式大会での上位入賞を目指す。

また、グッズやアパレルの開発や、チーム単位での動画配信にも意欲的だ。ファッションブランド「ナノ・ユニバース」がプロデュースするチームユニフォームを、今秋に発表予定。海外ではeスポーツチームとハイブランドのコラボレーショングッズが多数展開されており、今後もグッズ展開を積極的に行う。他には音楽グループ「いきものががり」のファン向けアプリを開発するアカツキの子会社「Crayon(クレヨン)」の知見を活かしたファンコミュニティサービスも検討中だという。