まずは、「化粧品の使用個数」に関する質問。マスカラや口紅だけでなく、化粧水や美容液などの基礎化粧品も含めて、毎日使う化粧品の種類について尋ねたところ、3分の1が「15~20種類の化粧品を使用」していた。化粧をしない人からすると驚くような数かもしれないが、例えば目の周りの化粧品だけでも、アイライン、アイブロウ、マスカラ、アイシャドウ、アイクリームなど、キリがないほどあるのだ。
「購入のタイミング」に関しても、74%が「使い切るなどにかかわらず、お気に入りのブランドだったら購入する」と答えている。化粧品は使い切ったら購入する“消耗品”ではなく、季節ごとに出る新作をついついそろえる“嗜好品”だということがよくわかる回答だ。特に色がはっきりと出るアイシャドウや口紅は、季節や気分、服の色味に合わせて何種類も持っている人も多い。
高級ブランドの競合は「プチプラ」だった
ブランド数も品目も多く混沌とした市場でも正しい買い物が体験をできるように、ノインは化粧品メーカーに対して顧客の購買データ提供を始めた。化粧品メーカーはこれまで、ブランドごとの顧客情報しか持っていなかった。また、アンケートもブランドごとでしかできなかったため、バイアスのかかったデータしか知ることができなかったのだ。
それを、ノインユーザーの行動から客観的なデータを抽出することで、「シャネルのAという香水を買う顧客は、ディオールのBという香水と比較している傾向がある」など、ブランドを横断した趣向の情報を取ることができる。
「化粧品メーカーのマーケティングは、ずっとブラックボックスになっていました。ばく大な広告費を使って、感覚的に運用していたんです。そこで、私たちがユーザー情報と商品情報、ログデータの掛け合わせをし、『自社の商品がどの商品と比較され、結果的に選ばれた、もしくは選ばれなかったのか』という情報を提供することにしました」(ノイン取締役の千葉久義氏)
ノインのデータを解析していくと、面白い事実が明らかになった。デパートのコスメフロアで売っているようなブランドコスメ(ディオールやサンローラン、RMKなど)の “デパコス(デパートコスメの略称)”と、コンビニやドラッグストアで購入できる格安コスメ(キャンメイクなど)の “プチプラ(プチプライスコスメの略称)”が、横並びで比較検討される傾向にあることがわかったのだ。
実際、今回のアンケートでも「デパコスとプチプラを比較することがあるか」という質問をしたところ、60%が「ある」と回答した。