さらに、お金をかける化粧品と安く済ます化粧品との金額差に関する質問には、「自分の持っている一番高価な化粧品の金額」は「5000~7000円」という回答が29%と一番多く、「一番安価な化粧品の金額」は「1000円以下」の回答が70%を超えた。
「お金をかける化粧品の種類」は、美容液や化粧水、ファンデーションなどの「ベースメイク用化粧品」が88%を占め、「安価で済ます化粧品」はチークやアイブロウなどの「仕上げ用化粧品」が63%を占めていた。
つまり、多くの人は化粧品にかけるお金の使い方に濃淡をつけているのだ。高くても価値があると感じれば購入に至り、逆にプチプラでも代用できると感じれば、ブランドにこだわらずに安く購入する。
「プチプラは、高級ブランドが出す新製品をよく研究していて、近い色味や性能のものを後追いして安く出すんです。そのため、金額に差があっても、意外とプチプラで満足できるケースも多い。アパレル業界と似ていますね。メイクをする若者からすれば当たり前の感覚なのですが、これまで化粧品メーカーは知るすべがなかった。業界的には貴重なデータが取れていると思います」(千葉氏)
他社との差は「購買データ」にあり
アイスタイルが運営するコスメのクチコミサイト「@cosme(アットコスメ)」はコスメ業界の誰しもが知る存在。コスメをさまざまなジャンルに分類し、商品ごとに評価やクチコミを投稿できる老舗サイトだ。アットコスメと比較されることも多いというノインだが、保有するデータは一線を画すものだと主張する。
「私たちが提供するのは、クチコミでなくEC。なので、実際に購買至ったかどうかまでデータで追うことができます。クチコミだけでは購買までの導線は弱く、データで出せるのは閲覧履歴までです」(渡部氏)
また、ノインの立ち位置は、Yahoo!ショッピングや楽天市場などほかのECモールとも異なる。
1つは、「独立したECサイトであること」だ。ECモールでは、複数の出店者が同じ商品を販売して、お互いが購買を競い合っている。そのため、他の出店者に勝つために、同じ商品でも値段や見せ方を変えたものが複数並ぶこともある。ユーザーにとっては見にくい。また、競い合う出店者同士が、お互いの購買データを共有にするのは難しい。
もう1つの強みは、「コスメ領域に特化している」ことだ。ECサイトがデータをオープンにできたとしても、扱っているジャンルはコスメだけではない。ほかのジャンルの購買データも顧客データに紐づいてきてしまう。