【実は危険】子どもを「やりたいことがわからない」大人にしてしまう危険な子育て《見逃し配信》写真はイメージです Photo:PIXTA

ダイヤモンド・オンラインの記事の中から、「今こそ読みたい1記事」をお届けする。今回は、2023年12月13日配信の連載『「強み」を生み出す育て方』の記事を紹介する。

※この記事は『「強み」を生み出す育て方』(船津徹・ダイヤモンド社)から一部を抜粋・再編集したものです。

「やりたいことがわからない大人」の共通点は
“子ども時代”にある

「やりたいことがわからない」
「何に向いているのかわからない」
「どう生きたいのかわからない」

 このような悩みに囚われたことはありませんか。

 これまで、たいていのことは「人並み」にはできていた。子どもの頃は人並みにできれば困ることはなかったのに、大人になるにつれて自分の得意分野や個性を求められ、行き詰まってしまったーー。

 悪いのは、本人ではありません。

 このような現象が起きてしまう一因は「子ども時代」にあるのです。

 親が古い価値観を引きずったまま子育てをしていると、20年後の社会では全く通用しない大人を育てることになりかねない。その一例が、子育ての方向性です。

 教育者の船津徹氏は、子どもを「やりたいことがわからない大人」にしてしまう子育てには「危険な兆候」があると指摘しています。親が良かれと思って無意識にやりがちな、【危険な子育ての兆候】とは?

「平均的に何でもできること」を
重視しすぎると“強み”が育ちづらい

 1996年以降に生まれたZ世代の子どもたちは、より「自分らしさ」に価値を感じる傾向があります。私自身もZ世代の子どもをアメリカで育てた親の一人であり、彼らが「人とは違うオリジナルな自分」を重視していることを実感しています。

「多様性を受け入れよう」「違いを認め合おう」という気持ちが強く、人とは違う自分らしさを「強み」として、SNSを通して肯定的にアピールすることに抵抗感がないのです。

 さらに、生まれた時からデジタル機器やインターネットに囲まれて育ち、AI、ロボット、ソーシャルメディアがあるのは当たり前。社会で自立するには、テクノロジーに負けない「専門性」と「人間力」が要求されることを肌感覚で理解しています。

 そんなZ世代の特性を活かすには、子育ての重点を「強みの育成」へとシフトしていくことが大切です。これまでの「偏差値教育」や「平均的に何でもできる人材育成」では、欲求が満たされないばかりか、個性や才能の芽をつぶすことにもなりかねません

 子どもに関わる大人たち(教育者、親、地域コミュニティ)が協力して、子どもの「良い面」や「強み」を見つけてあげる。子どもが本気で情熱を傾けられる「何か」を見つけたら、大人たちが応援して、高いところへ引き上げてあげる。

 強みを見極め・伸ばす「強み育て」を意識して子どもたちと接することで、全ての子どもが生来持っている才能を開花させ、自分らしさを発揮しながら経済的に自立し、活躍する未来につながります。

 私は日米で長らく教育に関わっていますが、日本社会も確実にアメリカと同じ方向に向かっています。近い将来、どのような「らしさ」を持ち、どのようにユニークなアプローチで社会に貢献できるのか、すなわち「子どもの強みは何なのか」が、あらゆる場面で求められるようになるでしょう。

 いざ社会に出て、「やりたいことがわからない」「何に向いているのかわからない」「どう生きたいのかわからない」と行き詰まる、「なんとなく生きる大人」に育てないためにも、「強み作り」を意識した子育てに今こそシフトすることが大切なのです。

子育て成功のカギは「強み育て」にある

【実は危険】子どもを「やりたいことがわからない」大人にしてしまう危険な子育て《見逃し配信》『「強み」を生み出す育て方』 (ダイヤモンド社)定価:1980円(税込)

 子どもが社会の変化に翻弄されずに、自分らしく幸せに生きていくには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立しなければなりません。一生ものの武器になるたくましさですが、どのように育てれば良いのでしょうか?

 たくましさが育つ要因は、家柄、血筋、遺伝ではありません。もちろん親の学歴や職業も無関係です。「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」でたくましさは育つと断言できます。

 つまり、子育てで最優先すべきは「強み育て」なのです。強みは、音楽でもスポーツでも勉強でも、なんでもいいのです。