「お金をもらう側」と「お金をあげる側」で、届け出内容を確実に共有する

 たとえ相続が起きたときに税理士が入ったとしても、子どもに「相続時精算課税制度を使っていますか?」と質問して「そんなものは使っていません」と言われてしまえば、税理士としてはそれ以上深く踏み込むことはなかなかできません。

 一応、「閲覧」という制度があり、税務署に行けば税理士も、お客様の過去の贈与税の申告書を見ることはできるのですが、閲覧制度を使うのにも結局、お客様に書類を書いていただいたりという協力が必要だからです。

 一方、相続人本人が税務署に行けば、比較的早く閲覧することができます。そのため私は、相続時精算課税制度を使っているかどうかあやふやなお客様には、できるだけ税務署に足を運んでいただき、閲覧して確認していただくようお願いしています。

 確かに手間はかかりますが、のちのち税務調査が入り、追徴課税を受けてしまうリスクを考えてみてください。新たに相続時精算課税制度を使う場合、届け出は「お金をもらう側」の人が行うようにしましょう。

※相続時精算課税制度の詳細は、前回記事『【生前贈与の新ルール】知らないと絶対損する「2つの注意点」』を参照

(本原稿は橘慶太著『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』から一部抜粋・追加加筆したものです)