新型コロナウイルス感染症による影響やデジタル技術の急速な進化など、これまで経験したことがないような変化が続き、VUCAの時代と呼ばれる昨今。これから社会に出ていく若い世代は、仕事選びや働き方の選択において、どんな考えを大事にしているのだろう。就職・採用に関する調査、分析を行う、リクルート就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏が、就活の最前線を語る連載の第11回。今回は、若い世代の働く価値観の変化について考えていく。
26歳以下の転職はこの5年で2倍に
「1社勤めれば安泰」は過去の話
社会の不確実性はますます高まり、年功序列や終身雇用など、「1社で勤め上げれば安泰」という価値観は崩れつつあります。では、そんな時代の中で育った若い世代(ここでは、主に1990年代中盤から2000年代にかけて生まれた世代)は、どのような価値観、軸をもって“働く”をとらえているのでしょう。さまざまなデータから、仕事選びや働く環境選びの変化を見ていきましょう。
一つの傾向として挙げられるのは、新卒入社の1社目に“留まる”ことにこだわらず、転職、起業、独立の選択肢を視野に、自由にキャリアをとらえる姿勢です。
転職支援サービス「リクルートエージェント」で転職した人のうち、Z世代(26歳以下)の転職は直近5年で約2倍に増えています。
2009~2013年度平均を1とし、2014年以降の推移を見たところ、26歳以下の転職者は、それ以外の世代に比べて上昇率が大きく、2018年の2.92ポイントから、2022年には4.8ポイントまで増えています。また、リクルートが行った「転職活動者調査」ではZ世代(26歳以下)が描く理想のキャリアとして、「自身の理想のキャリアに近いと思うもの」を選んでもらったところ 、「新しいことにチャレンジできる環境で働く」「将来の独立や起業を見据えて働く」「プライベートも重視できる環境で働く 」において、ほかの世代に比べて多い傾向が見えました。