「客観事実」と「自分の声」はセットで記す
さて、道中メモに書くことは、旅の行程やイベントなど、身の回りに起きたことだけではありません。家に帰ってやることや帰りに買っておくもの、家族に話したくなったこと、思い出した昔の話など、旅に関係のないアイデアなど、思いついたことは何でも書いておきます。内容に着目してみると、道中メモは大きく分けて以下の2種類になります。
・「客観事実」を記録しておくためのメモ
・「自分の声」を記録しておくためのメモ
「客観事実の記録としてのメモ」は、行程や食べたものなど、正確な情報を残しておくためのものです。たとえば、「○時△分に金沢駅に到着」とか、「昼ごはんはシラス丼を食べた」とか、「ガイドさんがあの名画についてこんなエピソードを紹介していた」とかいった単純な情報のことです。
これに対して、「自分の声」とは何かというと、自分の感じたことや考えたこと、思い浮かんだことなど、「自分自身に取材したこと」です。「駅に着いたが、おなかが減って歩き回る気がしない」「シラス丼はさっぱりして腹持ちもいい」「ガイドさんの説は本当だろうか?」といったことです。
観光地や街歩きなど、「資料」がたくさん手に入る場合、訪れた場所の詳細などは資料を見ればわかるので、「客観事実」は、かなり省くことができます。反対に、山歩きなど「資料」が少ない旅では、「○時△分、五つ辻から川沿いの道を下っている」などと、自分でちゃんと記録を残しておかないと、行程を振り返ることができません。
この2種類の記録は、別々の紙に書くのではなく、セットで記録しておくといいでしょう。僕は次のように、行頭の記号で書き分けています。
○バス待合所で休憩していると、通りがかったおばさんがみかんをくれた
☆さすが四国、旅人にやさしいなあ
○印が「客観事実」、☆印が「自分の声」です。こうしておくと、あとで行程だけを振り返りたいときには「○」だけをチェックしていけばいいことになります。書くときにも、読むときにも、わかりやすくて便利な方法です。