旅をしながら「道中メモ」をつくる
資料のほかにもうひとつ、ノートづくりの材料として、外出中に集めておきたいものは、自分の手で書いた「メモ」です。僕は、外出先でポケットに入るような小さなノートやメモ帳に書き付けておいたものを「道中メモ」と呼んでいます。
詳しく説明しておくと、「道中メモ」は、あとで一枚ずつバラしてノートに貼り付けるための、ポケットサイズのメモ用紙です。わざわざメモ帳を持ち歩くより、ポケットに入る大きさのノートを持ち歩いて、直接書いていくほうが簡単かもしれませんが(僕も以前はそうしていました)、これではノートの中に記述ばかりのところと資料ばかりのところができます。
また、資料を貼り付けられる大きさのノートを常に携帯するのも無理があるので、今はこの「道中メモ」方式を採っています。具体的には、僕は名刺サイズのカードを一番よく使います。これをシャツの胸ポケットに入れ「道中メモ」を作りつつ歩き回る。そして、宿や自宅で、「資料」と組み合わせながらA5サイズのノートに貼り、加筆して完成させるわけです。
僕の場合、旅や散歩の間の多くを、この「道中メモ」を作ることが占めています。足を運んだ土地で、さまざまなものを見て、考えたことを書いたり、早朝に公園の森の中を歩いていて、ふと思いついたことを記しておいたり……。こういったことで、「ただ珍しいものを見に行く」「ただ気晴らしに歩く」だけではなく、何か意味のある体験をしているような気がします。
それに、実際、日ごろ机にかじりついていたり、子どもの相手をしているときには思い浮かばないようなアイデアが浮かんできます。普段とはまったく違う仕組みで頭が働くようになる、とでも言えばいいのでしょうか。たくさんの道中メモを作って、帰ってくるとき、このメモから何か新しいことが始まるのではないか、生活に変化が起こるのではないかと思って、ワクワクしている自分に気がつきます。
日ごろの散歩や街歩きメインの旅の場合、僕は「名刺大のカード」(単語カード、情報カードなど)を名刺ケースに入れて持って行くことにしています。このサイズはポロシャツなどの胸ポケットにも入るので、上着を着ない夏場でも携帯しやすいのです。カードのようにバラせるものは、移動中や宿で分別したり、並べ替えたりすることも簡単という長所があります。