ここ数年、働き方に関して起こった大きな変化といえば、リモートワークの普及と生成AIの登場だろう。これらは、企業に染みついたあしき習慣を破壊する。言い換えれば、これまでの会社組織で評価されていた人たちは、うかうかしていられないということだ。(Alternative Work Lab所長 石倉秀明)
リモートワークや生成AIが
「二つの習慣」を破壊する
2020年代に入ってから、良くも悪くも働き方は大きく変化している。2020年に始まった新型コロナウイルスの世界的大流行によって、リモートワークが一般化した。最近はさまざまなところで出社回帰の流れが論じられているが、それでもリモートワークを実施している会社は、20%前後存在する。
2020年以前はほぼ存在しないに等しかったことを考えると、5社に1社が取り入れているというのは非常に大きな変化といえるだろう。出社中心だとしても、会議や社外の人との打ち合わせにウェブ会議ツールを使うことは当たり前になっているし、社内のコミュニケーションがメールからチャットへ移行した会社も多いのではないか。
そして、もう一つの大きな変化は、ChatGPTの登場に代表される生成AIの爆発的な普及である。
筆者も大学院の研究についてディスカッションする相手はすでにGPTになっているし、リサーチ業務などは完全にAIの方が優秀である。この二つは働き方を変えた大きなトピックだが、中でも、企業に深く根付いた「二つの習慣」を大きく変えたと筆者は考えている。
私が取締役を務めていた株式会社キャスターは2014年の創業からずっとフルリモートワークで運営しており、その上、社内業務や個人の業務で生成AIを使いこなしている。その結果、「破壊されるもの」が二つ見えてきた。