日銀は展望レポートの物価見通しを維持できるか
以上はすべて東京CPIの話だ。日銀がインフレ目標の指標として使っているのは全国CPIだ。
そこで、全国についても、「一時的要因」を除いたサービス価格の動きを示したのが下の図2だ。
全国CPIの1月の発表は1カ月先なので、12月までの数字を使っている。全国も昨年夏から高原状態ではあるが、東京のようにずるずると低下しているわけではない。
植田和男・日銀総裁が会見でいつも強調するように、春闘での賃上げがサービス価格へと転嫁されれば、横ばいの状態を脱することができるだろう。
全国の1月の値が「一時的要因」の影響で大きく下がるのはほぼ確実だが、注目点はそこではない。一時的要因を除いた実勢が下がるか否かだ。高原状態を維持できれば、先週の展望レポートで日銀が示した読み通りとなる。だが、実勢でみても下がるとなると、日銀は物価の将来のパスに関する見方を変えざるを得なくなるかもしれない。