2024.9.5
植田日銀の利上げ手法が「日銀への信認」を揺るがしかねない理由
日本銀行は今年3月に利上げに踏み切り、7月には追加利上げを敢行した。しかし、植田日銀の利上げ手法は中央銀行の信認を揺るがしかねない。その理由は、1989年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議論を見ると理解できる。
東京大学大学院経済学研究科教授
わたなべ・つとむ/東京大学経済学部卒業。日本銀行、一橋大学経済研究所教授等を経て、現在東京大学大学院経済学研究科教授。ナウキャスト創業者・技術顧問。
2024.9.5
日本銀行は今年3月に利上げに踏み切り、7月には追加利上げを敢行した。しかし、植田日銀の利上げ手法は中央銀行の信認を揺るがしかねない。その理由は、1989年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議論を見ると理解できる。
2024.4.3
日本銀行の黒田東彦前総裁は2015年6月、ピーターパンの「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」を引用した。黒田前総裁が飛ぼうとしても成し得なかった「賃金と物価の好循環」は、なぜ今になって実現しつつあるのか。その原動…
2024.3.14
3月にも日本銀行がマイナス金利政策を解除するとの見方が浮上している。政策判断を左右するのはサービス価格の動向だが、統計局の統計を再推計してみると、インフレが減速している可能性も見えてきた。マイナス金利解除は時期尚早の可能性もある。
2024.2.2
1月26日に発表された東京都区部の消費者物価上昇率(1月分、中旬速報値)は、前月から大幅に低下した。物価を見る時のポイントは、一時的な要因を除去した上で、傾向を観察することだ。日本銀行のマイナス金利解除にも影響を与えるのは、サービス価…
2023.11.8
昨年10月に出版した『世界インフレの謎』(講談社現代新書)では、世界でインフレが起きているのはなぜか、そして、日本の物価はどういう状況なのかを解き明かそうとした。本書は昨年6月から8月頃の私の理解に基づいている。米欧を中心とする世界の…
2023.10.18
昨年春から上昇し始めた消費者物価の影響を受けて、今年の春闘の賃上げ率は高い伸びとなった。岸田文雄首相の掲げる「賃金と物価の好循環」が視野に入ったとの見方も増えている。一方、早晩デフレに逆戻りするとの悲観的な見方も少なくない。そこで…
2023.8.25
日本の消費者たちは、物価は据え置かれるのではなく毎年上がるものと見方を大きく変えている。一方、この方向転換の波に乗り切れずデフレマインドを払拭できていないのが、日本銀行とエコノミストたちだ。両者の予測にはある悪い「癖」が存在する。
2023.6.6
1年前から続くインフレは、一過性か、持続的か。筆者の研究室が実施した物価に関するアンケートを基に、このインフレが持続的であることを示そう。
2023.6.6
日銀の黒田東彦前総裁が講演で「日本の家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言してから1年がたった。この発言の根拠となった調査の続きを公開し、消費者の値上げ耐性を分析。さらに、物価と賃金を持続的に上昇させるための政策について論じ…
2023.2.28
日本銀行の黒田東彦総裁を含む総裁別「頻出ワード」を抽出した。すると、政策の違いは「ある単語」に表れていることが分かった。植田新総裁が「ある単語」を多く語るかどうかは、今後5年の金融政策を見通す上でも重要だ。
2023.2.17
アベノミクスで掲げた物価目標「2%」の見直しが議論されている。タスク管理アプリや歯医者を例に考えると、内容を理解しやすくなる。
2023.2.17
前編では、物価目標「2%」の見直しとは、「遊び」のある物価目標へ移行することだと説明した。後編では、これが果たして機能するのか、有名なテイラー原理を基に解説する。
2023.2.9
前編では、10年物国債金利の他に「オーバーナイト金利」を市場に委ねる選択肢があることを紹介した。後編では、市場が決定するオーバーナイト金利の水準がどのような値になるかを試算した。浮かび上がったのは、長年にわたり議論されてきたゼロ金利…
2023.2.8
日本銀行が国債の大量購入に迫られていることから、「固定された長期金利を市場に委ねよ」という定番の主張がある。実はここには、見逃されているもう一つの極めて重要な市場がある。日銀は“二兎”を追うが故に、不均衡から逃れられないのだ。
2023.1.25
2022年12月の消費者物価指数(CPI)は前年比4.0%で、41年ぶりの上昇幅となった。しかし、物価を表すのはCPIだけではない。ニュースになるCPIとは、「見た」価格を集計した指標の一つにすぎないのだ。「買った」価格の指標を合わせて見ると、データ…
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