若手を変えるのではなく、
上司が変わるべし

 若手のことがわからない原因は、本当に若手にあるのでしょうか?

「まったく最近の若者はよくわからない」。これは今にはじまったことではなく、昔から年長者は若者に対してこのような言い方をしてきました。しかし、こうした従来からの若い人に対するとらえ方は、見直す必要があります。

 たとえば、そもそも「若手社員を動かしたい」「若手社員をやる気にさせたい」と考えること自体、その裏側に「彼らは動かない」「やる気がない」という意味を含んでいます。これは、年長者である自分たちが「正」であって、若年者は「誤」であるという一方的な決めつけであり、いわば固定観念です。

 視点を若手サイドに移せば、「もしかしたら自分たち上司側にも誤りがあって、彼らのほうが正しいこともあるかもしれない」とも考えられます。

 仕事についても、若手の視点になって考え直してみる必要があります。

 なぜ出世欲を持たない若手社員が増えているのでしょうか。あれこれと悩みごとを抱えて心身ともに疲弊するぐらいなら管理職なんかまっぴらごめんだと彼らが思っているのは、そんな上司や先輩の姿を見ているからではないでしょうか。

 若手社員を変えようとする前に、上司や先輩が変わらなければならないのです。上司が日々の仕事に夢や喜びを感じながら取り組むことで、将来は人の上に立って組織を引っ張るリーダーになりたいと考える若手社員がきっと増えてくるはずです。