若手社員から「あんなふうにはなりたくない」と煙たがられるのは、ベテラン社員本人のキャリアにとっても、組織にとっても不幸なことだ。生き生きと働き続けるために、ベテラン社員にこそ重要な二つの力がある。(コンサルタント 難波 猛)
「意識の低い」ベテラン社員に
若手が希望を抱けず退職……
近年、“ゆるい職場”が社会問題になっています。職場環境が整備された大手企業に就職した若手社員が、数年で退職する現象です。
そうした若手の退職時に行う「退職者インタビュー」では、次のような声を耳にすることが多いです。
「社内に尊敬できる先輩や上司がいない」
「ベテラン社員の仕事への意欲が低い。将来、あんな人になりたくない」
「職場の居心地は良いが、成長が望めず、リスクでしかない」
ベテラン社員の不活性は、本人にとってキャリア形成上のリスクにつながるだけでなく、若手社員や同僚のモチベーションを低下させ、離職率を高めるリスクにもなります。
ベテラン社員が、若手から「ああはなりたくない」ではなく、「あんな人になりたい」と期待や尊敬を集めるためには、「二つの力」が重要です。