一から資料を作成して大規模なカイゼン提案を行い、それが工場内のコンテストで最優秀賞となったり、愛知県のコンテストでは県知事賞をいただいたりなどの成果を出しました。
入社10年が経ったころに、私はエキスパートという役職をいただきました。これは技能系のチームリーダー的な位置づけです。
このころから私はライン設計やカイゼンのレクチャーに携わるようになり、自分が働く環境をより良くする活動にさらに没頭していきます。
教える立場になって感じたのは、トヨタ自動車の教育システムがいかに優れているかということでした。
私のような野球一筋で、高校時代は真剣に勉強をしてきていない人間でも、ちゃんと腹落ちさせるような教育理論になっていますし、トヨタ自動車ならではの「自分で考える」という風土につながっています。

川越貴博 著
たとえば、トヨタではほぼ3年に一度の昇級昇格試験があり、そのための教育があります。
そこではまずトヨタの理念や各レベルで求められる技量など概念的な教育を受けますが、次のステップでは標準3票(トヨタ生産方式の標準作業に不可欠な工程別能力表、標準作業組み合わせ票、標準作業票の3点セット)をどう作るか、さらに自分の職場で標準3票を作って業務をどうカイゼンするか、平準化するかを実践で示します。
管理手法も含めてこうした教育システムの存在が、トヨタ出身の人材が業種業態関係なく他の企業でも通用する理由なのだということに退職後に気づかされました。
こうしたカイゼン思考を身につけた従業員がたくさん育っていけば、企業は間違いなく成長します。