ひと口に高齢者と言っても、今は元気な方がたくさんいらっしゃいます。しかし、一見1人で何でもできるように見えても、足腰やバランス感覚といった身体機能は年齢とともに低下していることを見過ごすことはできません。

 転倒で怖いのは、何といっても転倒の際に頭を打ってしまうことです。そこから脳の病気につながり、長期入院となり、要介護状態に至ることもないとは言えません。

 幸い頭を打たずに済んだとしても、長期入院により自分で生活する力が落ちてしまうこともあります。入院が続けば、身体機能の低下だけではなく、認知症が進むリスクもあります。

「変化」を気づいてもらえる心強い制度がある

「将来、認知症にならないか心配……。でも、すぐに認知症になるわけではない」

 このように自問自答して、どこまで準備しておけばいいのか、わからなくなってしまう方も多くいます。

 1つ確実に言えることは、ひとり老後を安心して暮らすためにせっかく対策を取るのであれば、継続したサポートを受けられるようにしたほうがよいということです。

 そのために、切れ目のない連続した人生設計が理想となります。

 そこで、注目したいのが「見守り契約」です。

 この「見守り」という言葉、少し前までは福祉的ニュアンスが強く、要介護の方をサポートする意味で使われていました。見守りと言えば、転倒はしていないか、食事は取れているかなど、当初は生活支援が中心でした。

 しかし、最近ではもっと広くとらえられるようになっています。定期的な様子伺いも含まれます。今は元気だが将来のためにお互いコミュニケーションを取りながら、健康確認や生存確認を行うことも対象となっているのです。

 例えば、後見人を事前に準備しているHさん(81歳、女性)の場合です。

 今は自立していて、すぐに後見人に動いてもらわなくても生活は成り立っています。ただ、年齢を考えると、いつ調子が悪くなるかわかりません。