後見人の「手術同意書」のサインに効力はあるのか
その一方で、手術の同意書については、グレーな部分があると言わざるを得ません。
そもそも人の生命に関わることなので、本人でもなく、まして家族でもない第三者の人が同意するということが、なかなか概念として理解が進まないのです。
実際に、広い代理権がある後見人にすら、医療的同意権は与えられていません。
家族のいないおひとりさまが増え、後見人に医療的同意権を付与すべきだという議論もあります。しかし、親族でない後見人に医療的な同意を求めるのは、後見人の心理的負担が大きいように思います。
そう考えると、やはり本人が元気なうちに自分の意思を示しておくことが望ましいといえます。「リビング・ウィル(事前指示書)」や「尊厳死宣言」などを作成し、いざという時に医療機関が本人の意思を尊重できるようにしておきましょう。