“おひとりさま終活”特有の落とし穴、「身元保証人」とは

 いくらおひとりさまへのサポート態勢を充実させようと思っても、おひとりさま特有の壁がそこに立ちはだかることがあります。

 その最たるものが、入院時の「身元保証」と手術時の「同意書」です。

 入院となると、当然のごとく身元保証人の提供を求められます。ひと昔前であれば、子どもや親戚などがなることが当然のようにとらえられていました。

 しかし、おひとりさまの場合は、そもそも頼める人がいないという事態に突き当たります。

 夫婦であれば大丈夫でしょうか? お互いが身元保証人になれば問題ないようにも考えられます。しかし、同一世帯では認められず、夫婦以外の第三者でないとダメなこともあります。

 基本的に病院が身元保証人を求めるのには、連絡したい時や何か確認したい時、あるいは何かあった時に対応してくれる人をあらかじめ確保する意味があります。

 その点、最近は「任意後見契約」があることや、後見人がすでについていることを伝えると、入院を受け入れてくれるケースが増えているように感じています。

 病院によっては、任意後見契約書や後見の登記事項証明書(後見人がついていることを証明する法務局発行の公的書類)の提示を求めてくるところもあります。でも、こういう時のための契約書なので、本人の同意を得るなどして提示すればよいと思います。

 今は頼れる親族がいなくても、後見人を設定するなどすれば、身元保証人に準ずる人がいると扱ってもらうことができるのです。円滑な入院につながる方法はいろいろあると知っているだけで、安心感が全然違うのではないでしょうか。

 他にも、NPOや民間のサービスで身元保証人になってくれるところを利用する方法があります。最近では、身元保証人がいないおひとりさまに、病院のほうから提携の団体を紹介することもあるようです。

 2018年には厚生労働省が、身元保証人がいないだけで入院を拒否することがないよう、都道府県に通知を出しています。今後ますます家族や親族以外の身元保証人の活用が進むものと思われます。