分け隔てなく意見を交わせる
職場の環境が評価される

 ランキングでは、住友生命保険が1位、あいおいニッセイ同和損害保険が2位、リクルートホールディングスが3位で、トップ2社が保険会社となった。

 業種別では、「SIer、ソフト開発、システム運用」および「コンピューター、通信機器、OA機器関連」がそれぞれ最多の4社、「半導体、電子、精密機器」が3社ランクインした。
 
 上位30社のスコアを見ると、中途入社者による総合評価スコアが新卒入社者による評価を上回ったのは17社だった。「新卒文化」のイメージがある日系大手企業だが、ランキング全体を通じて中途入社者による評価の方がわずかに高いという結果になった。

 上位企業に寄せられた新卒入社者と中途入社者のクチコミ(原文ママ)を見てみよう。

「よくある大手日系企業の組織体制で基本的には年功序列だが、近年それが徐々に変わってきている。具体的には評価制度が一新され、これまでより評価次第で早く出世が出来る制度となった」(営業、新卒、男性、あいおいニッセイ同和損害保険)

「頑張りに見合った評価を得られやすく、きちんと指標を示してくれたことはとても良かった」(損害業務サービス部門、中途、女性、あいおいニッセイ同和損害保険)

「同族企業ではなく、実績を残せば誰でも公平に評価される面はある」(住宅設計、新卒、男性、大和ハウス工業)

「中途入社に対するハンディキャップはほぼ無く、実力主義の会社」(営業、中途、男性、大和ハウス工業)

 ランクインした企業のクチコミを見ると、新卒と中途の両方から、最近は自社が中途採用に力を入れており、入社した人たちがどの形態でも分け隔てなく意見を交わせる職場の環境が評価されている。外部で得た経験やスキルを積極的に取り入れようとする姿勢が、多様な人材を受け入れる組織の土壌を作っていることがうかがえる。

 さらに、評価制度の特徴として、「実力主義」や「日系大手企業によく見られた年功序列からの変化が出ている」といった声も寄せられた。

 社員の努力に見合った報酬体系や評価制度は、新卒と中途の双方から高い評価を受けている。特に、中途入社者にとっては、これまで新卒一括採用が主流だった企業に転職する際、仕事のチャンスや評価が公平かどうかを心配することがある。企業も、さまざまな人材が活躍できる報酬体系や評価制度の改善が求められている。

意欲が高い中途入社者を増やすには
研修制度と学習機会の提供が必要

 ランクイン企業の中でも、中途入社者によるクチコミ(原文ママ)に限定すると、丁寧な研修制度や豊富な学習機会を評価する声も見られた。

「入社して3ヶ月の間にしっかり研修が設けられている。その後も定期的に研修制度があり、キャリアアップのための選抜研修や目標管理体制も設けられているため、学びやすい環境ではある」(営業、中途、女性、住友生命保険)

「さまざまな研修があり、向上心があればどんどんスキルアップできる。個人の成長なくして会社の成長はないとの考え方なので、上司も含めて、貪欲に成長を求められるし、また成長する環境は整っている。逆に成長を求めないような人や、競争を諦めた人には非常に働きにくいところになると思う」(営業、中途、女性、リクルートホールディングス)

 中途入社者は、新卒入社者と比べて、自分が新しく身に付けたいスキルが明確であり、自分のキャリアステップに合う環境を求めて転職先を選んでいると考えられる。

 現在、人材の獲得競争が激しくなっているが、成長意欲の高い中途入社者にとって、スキルアップや学びの機会を提供することが、企業が選ばれる要因となるだろう。