岡山の創業100年超企業が「粗利率100%」の驚異的サービスを生み出せたワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

コロナ禍で圧倒的に普及したテレワーク。その「テレワーク導入支援」にいち早く注力し、2021年度には過去最高益を達成したという岡山の老舗企業「WORK SMILE LABO(ワークスマイルラボ)」。1911年に筆や墨を売る文具店として始まり、現在は事務機・事務用品・オフィス家具・ICT関連サービスの販売を通じて働き方全般を支援する。ただ単純に「モノ」を売るのではなく、「コト」も売ることで、持続的な成長を達成している注目株だ。※本稿は、船井総合研究所『このビジネスモデルがすごい!2』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。

ツール導入後の業務メニューが
粗利率100%のサービスに

 ワークスマイルラボは、「ワークスタイル創造提案業」を標榜している。商品となっているのは、まさに「ワークスタイル」そのものだ。

 集中を促すアロマディフューザー、退社時刻の宣言カード、スタンディングデスクとしても使える昇降テーブル、フリーアドレスで毎日座る席が偏るのを防止する抽選機械、社員の習熟度の一覧表など、70個以上。そして、顧客となる企業に自社の姿を見てもらう「来社体験型の販売」を行っている。

 ワークスタイルの事例は、いずれもワークスマイルラボ自身が、自社で実践してきたものだ。悩み抜き、試し、解決し、笑顔で働けるようになった過程を自らが経験しているからこそ、顧客となる企業に対して、親身になってワークスタイルの提案ができる。

 そしてワークスタイルを実現させるために必要となるのが、デジタルツールやオフィス家具、OA機器などだが、これらは多くが従来から扱っていたもの。もっといえば、競合も扱っているものだ。

 しかし、自分たちが「働き方改革」やDXを行い、それを実現させるために必要なものとして使っていたとなれば、その意味づけは大きく変わる。しかも、ワークスタイルそのものの提案なので、ツールや機器だけではなく、働く環境の改善やルール策定なども自社の経験を踏まえて支援していく。

 もちろん結果的にはデジタルツールやオフィス家具、OA機器を販売することになるわけだが、ただモノを売っているわけではない。顧客である企業が「どうしたいのか」を、本当に実現させるためのモノになるのだ。

 そして、「どうしたいのか」が本当に実現されるまで、徹底的に支援していく。そのために例えばDXなら、「デジタル化のロードマップ」を一緒に作り上げる。

 デジタルツールだけの提供なら他社と価格を比較される可能性があるが、ツール導入の前段階のフェーズから顧客に入り込むとなれば、そうはならない。ツールだけ別会社から買う、というのは考えづらいからだ。