しかも、導入後、デジタル支援という活用をサポートする業務メニューも作った。デジタル化のロードマップを一緒に作るからこそ、導入後のサポートも手がける機会が生まれるのだ。そしてこの業務メニューは、粗利率100%のサービスとなった。これが、収益力を押し上げた。

競争しない、値引きを求められないビジネス展開(同書より転載)競争しない、値引きを求められないビジネス展開(同書より転載) 拡大画像表示

変えたのは「売るモノ」ではなく
「売り方」と「顧客の働き方」

 デジタル化の導入からサポートまで手がけるようになったことで、顧客との関係性も大きく変わった。これまでは、モノやツールを購入してもらっても、営業はその後、フォローを入れる関係で終わっていた。

 だが、デジタル支援をしていく中で、「やっぱりこのツールも必要」「これも欲しい」と顧客の要望はどんどん増えていくようになった。デジタル支援サービスが、次々に販売機会を生んでくれたのである。

 ただ、このビジネスモデルは、当初からすぐに実現できたわけではない。『「働く」に笑顔を!』という理念をベースに来店体験型のオフィスを作ったが、当初はデジタルツールやオフィス家具の紹介をするところに、まだ目線は向かっていた。

 これが大きく変わっていったのは、先のテレワークだった。育児や介護があるため、テレワークという働き方をしている社員がいる、というワークスマイルラボの取り組みは周囲で話題になった。実は多くの企業が、同じような悩みを抱えていたのだ。

 しかし、出勤しない働き方では、社員がしっかり働いているかどうか、わからない。その不安が大きかった。では、ワークスマイルラボはどうしていたのか。もちろん、さまざまな試行錯誤の上に導入・運用をしたのだが、それを実際に来店体験型ショールームで見てもらえるようにしたのだ。

 常時モニターで接続して仕事をしている社員の姿が映っているのを見て、多くの会社が「うちもこれをやりたい」と伝えたという。そこで、自社で使っていたデジタルツールや機器を提案、販売していった。テレワークを実践したい多くの企業から、支持を得ることになった。

 ところが、機器を導入したのはいいが、「テレワークを実践できない」という声が聞こえてきたのである。実はテレワーク運用に必要なのは、ツールや機器だけではなかったのだ。実際、ワークスマイルラボでは、運用を成功させるためのさまざまな取り組みを自社で行っていた。