(5)がんばっても超えられない偏差値の壁がある
偏差値がなかなか上がらないのは「努力が足りないから」でしょうか。もちろん、努力すれば偏差値をある程度上げることはできますが、その「ある程度」が「どの程度」なのかは、個人差があるように思います。
たとえば、小学校では50m走という競技がありますが、私はいくらがんばっても9秒を切ることができませんでした。ダンスも絶望的で、周囲とテンポが必ずズレて、反対の動きをしていました。
でも、運動神経が悪いかというとそうでもなく、スキーなら学校で誰にも負けないくらいでした。
人には向き不向きがあります。生物は、生まれたときに遺伝によって、すでにかなりの能力が決まっているんですよね。だから、「これ以上、上げるのは難しい」という、超えられない偏差値の壁があるの も事実です。
こんな話をすると「うちの子はこのあたりが限界かも......」と嘆く保護者や、「勉強ができないのは遺伝だから仕方ない」と親のせいにする子どもが出てくるかもしれません。
でも9割の子は偏差値の壁にまだまだ到達していなくて、自分に合った勉強の仕方を見つけられていなかったり、そもそもの勉強量が足りなかったりして、その偏差値にとどまっているだけです。
偏差値には、努力だけではどうにもならない領域があるのだということを頭に置いておき、がんばってもなかなか偏差値が上がらないときこそ、「努力不足だ」とわが子を責めない、親も思い詰めないでほしいのです。