「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

「君の考えは?」と聞かれたとき、言語化力のある人はどう答える?Photo: Adobe Stock

「そのメリット、デメリットは?」と自問自答する

前回、言語化がうまい人は、「思考のものさし」に当てはめて、自分の考えを具体化しているとお伝えしました。
その「思考のものさし」TOP5の中でも使いやすいのが「メリット・デメリット」です。「たとえば、メリット・デメリットは?」というように自問自答します。
メリット・デメリットは、本当に多くの場面で使えます。

たとえば、「上司から社員食堂を廃止することについて意見を聞きたい」と言われた場合。「ざっくり一言→なぜ⇒たとえば」メソッドを使って自分の考えの解像度を上げていきますが、その時に「思考のものさし」を当てはめてみます。

(ざっくり一言)反対→
(なぜ?)自分はおいしくて気に入っているから→
(たとえば「社員食堂廃止」のメリット・デメリットは?)→メリット:社員食堂の運営費が削減できる。デメリット:若い単身者が多いわが社では、食堂を利用することで栄養バランスを保っている社員も多い。それが失われると体調を崩し、業務に支障が生まれる恐れがある」
という風に、自分の意見を洗い出していくことができます。

メリット・デメリットという「ものさし」は自分視点・会社視点・SDGs的な視点など、色々な視点から考えられるのも利点です。
メリットだけではなくデメリットも踏まえたうえで出された結論(ゴールの一言)は説得力が格段に上がりますし、周りからも「多角的に考えられる人」として評価されるので、これは本当におすすめ。

なお、「メリット・デメリット」を「良い点・悪い点」「長所・短所」などに言い換えてみると、さらに用途が広がります。

「君の考えは?」と聞かれたとき、言語化力のある人はどう答える?メリット・デメリットを使って具体化。「言語化大全」より

*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。