実際には他の研究などで、違う年代ではスマホの使用法を変えると集中力が増し、成績も上がるなどの報告がなされています。

 ですから、前述のスマホのネガティブな指摘は、「2歳以下に限定して」という大事な研究の条件が省かれているのです。要するに、スマホの「ネガティブ洗脳」に都合の良いように研究結果が使われていたことになります。

脳をエンゲージさせることができ
コミュニケーション能力もアップ

 乳幼児期とは、人間の基礎的な認知機能が一気に発達する時期です。その時期においては、スマホやタブレットの使用で悪影響が生じやすい。しかし、年齢が上がれば話は別。学習アプリや複雑なゲームなどで脳をエンゲージさせることができ、SNSなどを正しく使うことで周りとのコミュニケーションも高められる。

 そういう多面的な視点を、最新のスマホ研究は提示しているにもかかわらず、大事な条件を省き誇張されたネガティブ洗脳がはびこっているのも事実です。

 同様に、「使い過ぎた時」のスマホの悪影響を研究した論文なども、「条件省き」のネガティブ洗脳によく使われます。「極端に長時間使った場合」という大事な条件が抜け落ちてしまっているのです。

 平均的な使い方をしていればまったく心配はないのに、とんでもない長時間にわたって使ったことは言わずにうつ病のリスクが上がってしまう、とされてしまったケースもありました。

 平均的な使用時間などすべてのケースを含めて検証すれば、スマホ使用とうつのリスクに相関関係は見られません。

 要するに、普通に使っていれば心配はまったくないのに、極端なケースのみで全体が悪いような印象にされているのです。

 スマホに悪い面がまったくないわけではありません。ですが、良いところ、プラス面、ポジティブ面も、ちゃんと注目していかなくてはいけません。

 さて、ここまで見てきたように、スマホの影響についての話は、子どもに関するものが非常に多い。親としては、子どもにスマホを使わせていて大丈夫なのか、という心配がやはり大きいのもその理由の一つでしょう。

 だからこそ、ネガティブキャンペーンについつい反応してしまう。ごく自然な反応だと思います。私も2児の父なので、痛いほどよくわかります。