自分の情報開示の塩梅は
相手の様子を見ながら判断すべし
当たり前のことをいいますが、人は情報がない相手とは話せません。どこの誰だか得体の知れない人と話すのは不安だからです。
だからビジネスシーンでは名刺交換をして、互いの情報を開示します。
話しやすい空気をつくるには、表情や雰囲気も大事ですが、大前提として、自分の情報を開示することが基礎中の基礎です。
ただ、中には「自社のことや、自分のことを一生懸命話しているのですが、なかなか会話が盛り上がりません」という人もいます。
自分の情報を出し過ぎる人は、自分のことばかり話す自分勝手な人だと捉えられ、それはそれで相手に不快感を与えます。
自分の情報をまったく出さない人とは安心して話せない。かといって情報の出し過ぎも不快感を与える。となると、どのくらい情報を出せばいいのか、この塩梅が難しいですね。
一流は、情報開示の塩梅を、相手の様子を感じ取りながら判断します。
相手が安心して話してくれそうなら、積極的に相手の話を聞く。
もし相手が話しにくそうなら、積極的に自分の情報を開示する。そして相手が安心してくれたらまた相手の話を聞くことに集中する。
まるで、相手の心に扉があって、その開閉具合を確認しながら話しているかのようです。
もし相手が口数が少ない人なら、あなたから先に1枚カードを切ってください。
「私の会社はこの近くなんです」と。そして「○○さんもこの近くですか?」と質問してみてください。
「私、この会に参加するのは初めてなんですが、○○さんは何回目ですか?」
「私、営業職なんですが、実は営業が苦手で……○○さんは得意ですか?」
というように。
自己開示してから質問する→相手からも自己開示してもらう→またこちらから自己開示して質問する。このサイクルで、話しやすい空気をつくっていきます。相手と手と手を取り合って一緒に階段を登っていくイメージです。
私はよく経営者の方とお話ししますが、大御所といわれる人ほど、どれだけ自分がドジでまぬけでおっちょこちょいかを、先に話してくれます。
それを聞くと、新米の経営者たちは安心して自分の失敗談や悩みを話せます。この空気をつくるのもまた、一流の技です。
相手の感情を汲み取りながら、自己開示というカードを1枚ずつ切っていく。
常に相手を起点にして会話を進めるのが、本物のコミュニケーターです。