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場を盛り上げる、相手に好感を持たれる……質問をする際にほんの些細なことに気をつけるだけで、相手の気持ちを惹きつけることができるという。そして世の中には「絶対にやってはいけない質問の仕方」というものも存在するのだ。本稿は、桐生 稔『質問の一流、二流、三流』(明日香出版社)の一部を抜粋・編集したものです。

相手に共感することで
「心の距離」が近づく

 誰だって大変だったことや苦労した経験はあります。

 会社が倒産しかけた人もいれば、大切な人に裏切られた人も、学校の受験で苦労した人だっているでしょう。苦労に大小はありません。

「大変」とは、大きく変化すると書きます。それを乗り越えるのには相当パワーが必要です。

 それを踏まえると、相手の苦労話を聞くときのポイントが見えてきます。

 苦労した内容を詳しく質問すること… …ではありません。

 相手の苦労を共に味わうことです。

 たとえば、「昨年、会社が倒産しかけたんです」というお話。

「何があったんですか?」「どうしてそうなったんですか?」「どうやって乗り越えたのですか?」と質問ばかりすると、尋問のようになります。

 そこで、質問する前にひとこと、その苦労を共に味わう言葉を付け加えてみてください。

「そうなんですね。それは本当に大変でしたね。何があったのですか?」

「そんなことが… …。相当ご苦労されたのではないですか。どうしてそんなことに?」

「それは厳しい経験をされましたね。どうやって乗り越えたのですか?」

 同じ質問をするにしても、ひとこと、共感のメッセージがあるだけで随分と尋問っぽさが抜けたと思います。

 共感することで、相手との心の距離が近づくからです。

 もう一つ、簡単な例を。

 もし友達が松葉杖をついて歩いてきたら、AとB、どちらのパターンで質問しますか?

A:「どうしたの?」
B:「え!痛そう!大丈夫?どうしたの?」

 Bのように、痛さを共に味わう優しいひとことがある方が、質問にも温かさが出てきます。

 質問が尋問のようになる人は、聞きたいことが先走り、相手が言ったことに対するフィードバックが足りていません。

「いつ」「どこで」「何をしていたんですか?」と質問を連発するのではなく、

「旅行に行かれたんですね!いいなー、まさに旅行シーズンですもんね。どちらに?」
「沖縄ですか。暖かくて気持ちがよさそう!何をされたんですか?」
「スキューバ!すごい楽しそう!以前もやられたことがあるんですか?」

 などと共感してから質問をすることです。

 まず相手に寄り添うひとことがあるだけで、お互いの距離はグッと近くなります。

 一流は距離の縮め方もうまいです。プロフェッショナルとしての営みは、こういう小さなひとことから始まります。