この比率についても、実は皆が納得をすれば自由に決められます。納得をしないため、けんかになることが多いです。

 ただ、調停や審判で決めようとすると、「割合」ではなく「実費精算」になってしまうので、想定しているお金に満たないことが圧倒的に多いです。

 金額を決めるに当たっては、「その人が介護をした時間数×プロのヘルパーに依頼したときの費用」という計算式で計算することになります。例えば100時間の介護をしたとして、ヘルパーに頼んだ場合、「1時間5000円」という単価だとすると、100×5000で50万円多く相続できるということになります。

 このように「たくさん頑張ったのに数十万円しか多くもらえなかった」というような話も聞いたことがあります。

「本来なら兄弟3人で3分の1ずつ相続するところ、介護をがんばった長男は50%を相続、次男と三男は残る50%を折半」のように、「介護をがんばった人の相続割合が増える」と期待する人が多いのですが、実際は上記のような計算になるので、がっかりしてしまう方がほとんどだと思います。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』の著者、橘慶太氏への取材をもとに作成したものです)