宮川町「京おどり」の時期、宮川町の提灯には桜の花が添えられる

新しい切り口で見せる宮川町「京おどり」 

 祇園甲部の南端、川端通、大和大路通、五条通に囲まれた一帯の花街が宮川町。京阪本線「祇園四条」駅5番出口すぐのところにあります。八坂神社が営む祇園祭の神事の一つである神輿洗(みこしあらい)が、四条大橋南側の鴨川の水を用いて行われることから、辺りが「宮川」と呼ばれるようになりました。江戸時代初期、出雲阿国(おくに)が鴨川の河原で始めた歌舞伎人気の高まりとともに、茶屋街として発展してきました。提灯にもある紋章の三つ輪は、社寺・町家・花街の三者一体をイメージして、明治時代に定められたものです。
 
 宮川町では、4月6日から21日まで(15日は休演)「京おどり」が開催されています。宮川町の中心部が再整備中で、宮川町歌舞練場も老朽化による改装工事中であり、今年も引き続き、洛北の京都芸術大(左京区北白川)内の「京都芸術劇場 春秋座」が会場となります。
 
 1950(昭和25)年と戦後生まれの「京おどり」では、京都の名所や名物を舞踊化するのが特徴。前半は、古典作品や京の都の風物をテーマとして舞妓と芸妓の舞で物語を紡ぎ、後半は、花鳥風月や民謡・民舞をテーマとして新しい切り口の舞を披露します。
 
 74回目となる今年のテーマは「時旅京膝栗毛(ときのたびみやこひざくりげ)」。お伊勢参りが大ブーム中の江戸に、22世紀の未来から夫婦円満を祈願しにやってきたヤジ(夫)とキタ(妻)夫婦が、タイムマシンにトラブルが発生したことで迷い込んだ時空の先は……という、現代のファンタジックな視点を盛り込んだ個性派ストーリーです。第一景「元禄の藤」、第二景「平安の雪」、第三景「応仁の乱」から、フィナーレ「宮川音頭」まで、全九景の構成となっています。
 
 定番の「宮川音頭」では、芸妓や舞妓が総出演。手に持つ扇の動きに至るまで息がぴったりと合った、華やかな群舞を繰り広げます。予約はオンラインのみで、全席お茶券付きの指定席となっていますよ。

夜の宮川町提灯の明かりに赤く染まる夜の宮川町のそぞろ歩きも体験したい